ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

小説 文庫本

【旅に出る】190.『スーツケースの半分は』著:近藤史恵

投稿日:8月 18, 2019 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、近藤史恵の『スーツケースの半分は』です。

スーツケースの半分は (祥伝社文庫)

 

■あらすじ

第一話の主人公の真美は、ずっと行きたいと思っていたニューヨークに行けずにいた。

あるとき、偶然行ったフリーマーケットで青いスーツケースを見つけ、購入する。

行くのに躊躇していたが、ニューヨーク一人旅を決意する。

スーツケースの中にはあるメッセージが入っていた。

やがて、友人たちに貸し出され、いろいろなものを運んできたことから、幸運のスーツケースと呼ばれる。

 

 

■作品を読んで

この作品の本物の主人公は、青いスーツケースです。

なぜって、作品の中のすべての話にこの青いスーツケースが登場するからです。

スーツケースを買った真美に始まり、その友人たち。さらにはスーツケースを売った張本人とその家族。

なんとまあびっくりなことに、最後の話でスーツケースがなんでいるのかという話まで。

メッセージの由来も分かりますし、何よりスーツケースを巡る一連の物語が完結します。

すごく納得ができるし、ここから来たのかという由縁がわかります。

すごくスーツケースが旅の思い出だけでなく、縁など見えないものも運んでいます。

 

この作品は、スーツケースとともに旅する人々の様々な模様を描いています。

真美の友人のゆり香は旅先で恋人から置いてきぼりを食らっても、それまでバックパッカーとして世界中を回っていた経験をフル活用します。

また、アブダビはイスラム教で肌を露出する格好はNGだということを知っていたゆり香は、きちんと肌を見せない格好していました。

それを見た通りすがりの女性がゆり香を助け、文化を尊重してくれていることがうれしいと言いました。

思い出に残るのはどっちか、といわれれば明白です。置いてきぼりにする恋人なんてどーでも良くなることでしょう。

なんか、吹っ切れた感があります。

 

考えてみれば、スーツケースって旅をするのに1番使います。

しかもレンタルでない方はよほどのことがない限り、同じものを使い続けると思うんです。

買い換えるのが面倒ですし、いかにも旅してます感がいいんですよね。まさに、旅の相棒。

物語に出てくる青いスーツケースも、友人たちに貸し出されていくうちに4回旅して、地球1周よりも移動している。

そら、少しはドラマの1つや2つありますわな。

トーコも旅が好きなのですが、今のスーツケースは2代目です。エヴァでいうところの初号機。

しばらくの相棒にしたくて、とにかく丈夫で雑に扱われても頑丈かつ持っていてカッコいいものに。

だから、ふとこんなセリフが出てくるのでしょう。

スーツケースはパーティバッグよりもいろんな風景を見ることができるだろう。

ましてや、スーツケースが貸し出されてしまえば持ち主より様々な風景を見ることでしょう。

スーツケースほどボロボロになったり、ステッカーが貼られて貫禄が出るバックはない気がします。

 

■最後に 

スーツケースが主人公の割合がすごく高いです。でも、スーツケースはそんなドラマを見ています。

青いスーツケースがきっかけとなり、旅に出たり、旅に出ることを後押しします。

また、新しいきっかけも運んできます。

 

-小説, 文庫本, ,

執筆者:


  1. […] まずは、これまで紹介している近藤史恵作品を。190.『スーツケースの半分は』 […]

comment

関連記事

【物語の中の物語】267.『オラクル・ナイト』著:ポール・オースター

こんばんは、トーコです。 今日は、ポール・オースターの『オラクル・ナイト』です。 オラクル・ナイト (新潮文庫)   ■あらすじ 病から帰還したシドニーは、ある日不思議な文具店でブルーのノー …

【考え方を知る】76.『思考のレッスン』著:丸谷才一

こんにちは、トーコです。 今日は丸谷才一の『思考のレッスン』です。 思考のレッスン (文春文庫)   ■あらすじ 著者は文学作品こそとても少ないですが、作家だけでなく、評論家や翻訳家としても …

no image

【音楽家の姿】284.『グレン・グールド』著:吉田秀和

こんばんわ、トーコです。 今日は、吉田秀和の『グレン・グールド』です。 グレン・グールド (河出文庫)   ■あらすじ グレン・グールドは様々な伝説を残した天才的なピアニストである。特に「ゴ …

【インフラの母】93.『すべての道はローマに通ず』著:塩野七生

こんにちは、トーコです。 今日は、塩野七生の『すべての道はローマに通ず』です。 ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉 (新潮文庫) ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉 …

【家族の形】60.『朝が来る』著:辻村深月

こんばんわ、トーコです。 今日は辻村深月の『朝が来る』です。    朝が来る   ■あらすじ 栗原佐都子は夫の清和と6歳の朝斗と家族3人平穏に暮らしていた。 ただし、朝斗は養子ではあるが、そ …