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【生きた証】134.『聖の青春』著:大崎善生

投稿日:12月 16, 2018 更新日:

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こんばんは、トーコです。

今日は、大崎善生の『聖の青春』です。

 

聖の青春 (角川文庫)

 

■あらすじ

あなたは知っていますか?。重い病を抱えながら将棋の世界で名人になることを夢見て、日々将棋の世界で研鑽を積んできた今はなき怪童のことを。

男の名は村山聖(さとしと呼びます)。羽生善治のライバルでもありました。

この本は、村山聖の29年の生涯を描いた本です。

 

■作品を読んで

何年か前に映画化したときに、村山の役を演じた松山ケンイチが役作りのために体重を増やしたと思います。そんなニュースがありました。

確かに映画のパッケージを見るとなんとなく村山の雰囲気が出ているような気がします。

作品から見る村山像そのものを松山ケンイチは醸し出しています。ちなみに松山ケンイチの演じる村山を見て、著者も村山がいると懐かしがったそうです。

話を戻しましょう。

村山は幼いころからネフローゼという病気を抱え、入院生活を送っていたそうです。

重い病気で思うように動かない体と病院という死と隣り合わせの幼い子供にとってはかなり過酷な環境です。そんな状況を救っていたのが、将棋でした。

村山は将棋を始めると、とにかく強くなりたいと思い、すごい集中力と才能を発揮したそうです。

14歳で奨励会に入門し、16歳で初段になりました。初段=プロというのが将棋の世界。それにしても、病気でたびたび中断する中での昇進なので、ものすごいスピードだそうです。

それからも、家族や師匠、同世代の棋士たちなど様々な人たちとの切磋琢磨の日々を送っていたそうです。

それにしても、羽生善治という人はすごいです。平成元年に竜王を下し、新竜王となりました。羽生善治が19歳の時です。

平成の30年間は羽生善治という人なしでおそらく将棋は語れないでしょう。

今更ですが、偉大過ぎて正直唖然としました。平成ずっとトップだよ、この人。

前人未到の永世七冠を果たしたことで、昨年国民栄誉賞を授与されたかと思いますが、その第一歩です。

村山聖が命を懸けて将棋に向かっている姿を描いている小説で、なぜか改めて羽生善治という人の偉大さを思い知るという、謎の展開。

参考までに、以前紹介した本のリンクです。105.「直感力」著:羽生善治

村山聖の将棋に向き合う姿勢は、正直真似できるレベルではありません。毎日棋譜を見て研究し、本当にライバルに対しても敵意むき出しでした。

ただし、羽生善治に対しては特別な敬意を持っていたそうです。

一体どんな人物なのかと思いきや、将棋に一生懸命な一方で、多くの先輩・後輩棋士たちとも交流を持ち、純粋で強情で、ユーモアのあるかわいげのあるやつとまあ、結構面白い人物だったそうです。

また、少女漫画が好きだったり、麻雀やワインを楽しむなどなかなか普通の若者と変わらない一面もあったそうです。

あとがきにお父さんによる解説文がありますが、普通の若者のような青春がちゃんとあったことが分かって親御さんとしても安心した部分でもあったそうです。

闘病は村山本人が抱えていたことかもしれませんが、それを脇で見ることしかできない家族苦しみは計り知れないものがあることでしょう。

1998年8月に癌で亡くなりました。29歳という若さで、A級在籍のままだったそうです。

病気の男に将棋という翼があったからここまでの力を発揮し、夢や希望を見ることができました。

そんなものに出会え、まっすぐに道を突っ走った村山もある意味すごいです。

 

■最後に

もし、この人が生きていたら将棋の世界はまた違った様相を見せてくれたのではないかと思ってしまいます。おそらく名人になっていたでしょう。

でも彼はもう存在しません。それでも、将棋界に多大な影響を与えました。

そして、生きている私たちに何かにのめりこむこと、それができることの尊さと生きることそのものの尊さを教えます。

 

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