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【文豪の意外な姿】127.『グッド・バイ』著:太宰治

投稿日:11月 15, 2018 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、太宰治の『グッド・バイ』です。

グッド・バイ (新潮文庫)

 

■あらすじ

この作品が書かれた時期は、戦中から戦後の世の中全体が変わっていく過渡期に書かれたものです。

世の中全体が変わっていくので、当然思想的にも大きな転換期にあります。

太宰個人の思想だけでなく、戦中の疎開の話、戦後の混乱から何か立ち直っていく話など様々な作品が収録されています。

 

■作品を読んで

この作品は個人的には再読になります。トーコが前回読んだときの感想は、「太宰治って家族に対してかなりマメなことをしてたんだ。」と人物像を改めたことです。

新潮文庫版「グッド・バイ」の最初の作品の「薄明」という作品では、住んでいた家が爆撃を受け、妻の実家に疎開するもそこでも爆撃を受け、太宰の実家がある津軽へ疎開することを決意する、という作品です。

この作品読んでいて本当に太宰治の人物像が変わります。家庭を帰り見ず、酒浸りで愛人と遊んでばっかりなのかと思いきや、戦時中の爆撃を受け、家族4人でどうやって暮らしていくかを第一に考える姿はものすごく新鮮です。

太宰のイメージがそもそも悪すぎですが、家族一同どうやって生き残るか、また、5歳の娘の目が悪くなり、心配でけっこう必死になっている姿が印象的です。

また、「薄明」のつづき(?)の「たずねびと」では、上野から津軽まで命からがら疎開します。

現代は上野から津軽までは8時間もかからないとは思いますが、当時は3日かかるところ4日かかってやっと到着します。

途中爆撃が起こったり、食料が腐ったりと疎開も命懸けです。こういった文章を読むと戦争は嫌だとつくづく思います。

ちなみに太宰は「にぎりめしひとつを奪い合いをしなければならなくなったら生きるのをやめる」と言っていました。せめてものプライドだそうです。でも、その時が今にもやってきそうな状況です。

不幸中の幸いというか、子供のお乳をもらえたり、コメを渡してにぎりめしにしてもらったり、食料を分けてもらったりと結構ラッキーな出来事が多かったようで、何よりですが。

この過酷な状況が皆さんできますか?。戦争は私たちの生活に著しく影響を与えます。トーコはこの状況下で生き延びることはおそらくできません。

また、ほかの作品も戦後の思想と自分の思想との折り合いをつけるのに苦悩する様子がカネり見受けられます。

敗戦によってこれまでと一変する一方で、「苦悩の年鑑」という作品のなかで「日本は無条件降伏をした。私はただ恥ずかしかった。ものが言えないくらい恥ずかしかった」と述べます。

また、「苦悩の年鑑」では、太宰のこれまでの出来事とその時代に持っていた思想について若干痛いですが、告白しています。

こうすることで、戦中から戦後の思想の移り変わりを太宰なりに整理していったんだと思います。

「渡り鳥」という作品では、金のある人間に上手にすり寄り、ターゲットを定めたのち上手にお酒を飲んで、たまっていたつけまで払わせることをやってのける男の話をユーモアたっぷりに描きます。

なんというか、「渡り鳥」で描かれている男が当時の勝ち組なんだろうなと思う一方で、どこか憎めないキャラクターです。

表題作の「グッド・バイ」は自殺する前の最後の作品です。

男は愛人と手を切るために、ものすごい美人を連れて別れさせようとするが、ものすごい美人は普段はものすごく汚いし、報償をあげようとすると男の持っている財産を使い果たすという悪人っぷりを発揮します。

利用しようとしていいように利用される。モデルがおそらく太宰本人のような気がします。ただ、お金は持っていなさそうですが。

なんというか、太宰にとっては新しい試みであるし、少しずつですが、辛気臭い文体からの脱却を図ろうとしていた矢先に自殺しました。

この作品には何か続きがある予感がします。何かの可能性を秘めているような気がしてなりません。

 

■最後に

この作品はこれまで皆さんが持っている太宰のイメージを破壊する威力を持った作品です。

家族についても、太宰個人の思想や作品全般についてもイメージを変えてくれる作品です。

太宰に興味を持ったらぜひとも読んでみることをおススメします。

 

-エッセイ, 古典, 小説, 文庫本

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