こんにちは、トーコです。
今日は、ポール・オースターの「内面からの報告書」です。
■あらすじ
著者ポール・オースターの内面、特に精神面から著者自身を見つめた本です。
この本は以前紹介した、著者の体について述べた「冬の日誌」と対になっています。
ただ、「冬の日誌」はかなり時系列に沿っているが、「内面からの報告書」では4章立てとなっていて、若干アプローチを変えてはいますが。
構成を簡単に言えば、幼少期、幼少期に影響を受けた映画、最初の妻が保存していた最初の妻への手紙、アルバムとなっています。
■作品を読んで
こうして2作読むと、少しポール・オースターという人が立体的に見えてきます。
訳者のあとがきにもあるのですが、うれしかったことよりも、深く傷ついたり、他者に理解されなかった経験の方がすごく直接響いてくると述べています。
すごく同意してしまいます。こんな場面がありました。
著者が12歳の時の英語のリーディングの授業の中で、教室の後ろのボードを使って1冊読むごとに宇宙船みたいなペグを動かすのだが、著者は当時からよく本を読んでいたせいか、結果は断トツトップ。
それを見た担当の教師は「嘘だ、この結果は嘘だ」と教室で皆のいる前でなじります。著者はあまりの恐怖に泣き出してしまいました。
痛いほど伝わってきます。その教室がどんな状況かも伝わりますし、何より教師にそういわれたら普通反応できずパニックになりそうー、と思いました。
また、ある出来事を思い出しながら著者はこう回想します。
たいていの人は独自の秘密を持っているのだと君は思うに至った。
…人はみな見かけとは異なっていて誰かを知るなんて不可能に近いことだ。
そうですよね。人は人に知られたくないことをはじめとして独自の秘密を持っている。秘密を知られたらマジでやばい人もいますからね。人はそれをひた隠しながら生きているんだよなー、と改めて思います。
そのあとの人を知ることができないという言葉もけっこうグサッと刺さります。その通りですね。人って見かけだけで判断するなという方もいますし。
でもトーコは思うのです。だから人間って面白いんだと。わかりやすい人ばかりでも面白くないでしょう。
ただ、著者の場合より本に没頭するようになったそうです。本の中の登場人物たちの秘密は本の中で明らかになり、知ることができるからです。
なんだか几帳面な人だなと思いました。
■最後に
本作と「冬の日誌」の2冊でポール・オースターという人間がわかります。片方しか読んでいないかたもせっかくなら両方とも読むことをおススメします。
2冊読むことですごくリアルな人物像を見ることができます。
1番の最大の収穫は普通の人間なんだなということですが…。
参考にどうぞ
[…] この本は「ある身体の物語」ですが、「ある精神の物語」ということで、「内面からの報告書」も発行されます。トーコも後で読もうかと思っています。 […]
[…] 34.「冬の日誌」、53.「内面からの報告書」、267.「オラクル・ナイト」 […]
[…] 35.『冬の日誌』、53.『内面からの報告書』、277.『トゥルー・ストーリーズ』 […]