ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

エッセイ 自叙伝

【著者かく語りき】53.「内面からの報告書」著:ポール・オースター

投稿日:5月 31, 2017 更新日:

こんにちは、トーコです。

今日は、ポール・オースターの「内面からの報告書」です。

内面からの報告書

■あらすじ

著者ポール・オースターの内面、特に精神面から著者自身を見つめた本です。

この本は以前紹介した、著者の体について述べた「冬の日誌」と対になっています。

ただ、「冬の日誌」はかなり時系列に沿っているが、「内面からの報告書」では4章立てとなっていて、若干アプローチを変えてはいますが。

構成を簡単に言えば、幼少期、幼少期に影響を受けた映画、最初の妻が保存していた最初の妻への手紙、アルバムとなっています。

 

■作品を読んで

こうして2作読むと、少しポール・オースターという人が立体的に見えてきます。

訳者のあとがきにもあるのですが、うれしかったことよりも、深く傷ついたり、他者に理解されなかった経験の方がすごく直接響いてくると述べています。

すごく同意してしまいます。こんな場面がありました。

著者が12歳の時の英語のリーディングの授業の中で、教室の後ろのボードを使って1冊読むごとに宇宙船みたいなペグを動かすのだが、著者は当時からよく本を読んでいたせいか、結果は断トツトップ。

それを見た担当の教師は「嘘だ、この結果は嘘だ」と教室で皆のいる前でなじります。著者はあまりの恐怖に泣き出してしまいました。

痛いほど伝わってきます。その教室がどんな状況かも伝わりますし、何より教師にそういわれたら普通反応できずパニックになりそうー、と思いました。

また、ある出来事を思い出しながら著者はこう回想します。

たいていの人は独自の秘密を持っているのだと君は思うに至った。

…人はみな見かけとは異なっていて誰かを知るなんて不可能に近いことだ。

そうですよね。人は人に知られたくないことをはじめとして独自の秘密を持っている。秘密を知られたらマジでやばい人もいますからね。人はそれをひた隠しながら生きているんだよなー、と改めて思います。

そのあとの人を知ることができないという言葉もけっこうグサッと刺さります。その通りですね。人って見かけだけで判断するなという方もいますし。

でもトーコは思うのです。だから人間って面白いんだと。わかりやすい人ばかりでも面白くないでしょう。

ただ、著者の場合より本に没頭するようになったそうです。本の中の登場人物たちの秘密は本の中で明らかになり、知ることができるからです。

なんだか几帳面な人だなと思いました。

 

■最後に

本作と「冬の日誌」の2冊でポール・オースターという人間がわかります。片方しか読んでいないかたもせっかくなら両方とも読むことをおススメします。

2冊読むことですごくリアルな人物像を見ることができます。

1番の最大の収穫は普通の人間なんだなということですが…。

参考にどうぞ

【自叙伝】35.「冬の日誌」著:ポール・オースター

 

-エッセイ, , 自叙伝

執筆者:


  1. […] この本は「ある身体の物語」ですが、「ある精神の物語」ということで、「内面からの報告書」も発行されます。トーコも後で読もうかと思っています。 […]

comment

関連記事

【不思議なタイトル】482.『起きられない朝のための短歌入門』著:我妻俊樹 平岡直子

こんばんわ、トーコです。 今日は、我妻俊樹、平岡直子の『起きられない朝のための短歌入門』です。 起きられない朝のための短歌入門 posted with ヨメレバ 我妻俊樹/平岡直子 書肆侃侃房 202 …

【旅に行く】421.『飛び立つ季節』著:沢木耕太郎

こんばんわ、トーコです。 今日は、沢木耕太郎の『飛び立つ季節』です。   ■あらすじ この2,3年、私たちは多くの制約がありました。ですが、16歳の時の旅の面影を探したり、壇一雄の墓を訪ねた …

【これからの日本】159.「地方消滅」著:増田寛也

こんばんわ、トーコです。 今日は、増田寛也編著の「地方消滅」です。 地方消滅 – 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)   ■あらすじ 日本は今後人口が急減し、896の自治体 …

【私とは】365.『土の中の子供』著:中村文則

こんばんわ、トーコです。 今日は、中村文則の『土の中の子供』です。   ■あらすじ 27歳の私はタクシードライバーとして生きているが、幼い頃に親に捨てられ、孤児として虐待されてきました。これ …

【叫びの物語】225.『ⅰ(アイ)』著:西加奈子

こんばんわ、トーコです。 今日は、西加奈子の『ⅰ(アイ)』です。 i (ポプラ文庫)   ■あらすじ 高校生のワイルド曽田アイは、数学の時間に「この世界にアイは存在しません。」ということを聞 …