こんばんわ、トーコです。
今日は、吉本ばななの『キッチン』です。
■あらすじ
唯一の家族だった祖母をなくしたみかげは、祖母と仲の良かった雄一とその母えり子のもとに居候することになる。
祖母をなくした悲しみから抜けきれないみかげにとって、雄一とえり子の優しさは救いとなる。(「キッチン」のあらすじ)
この作品は著者の処女作らしく、また世界25か国で翻訳されているそうです。
■作品を読んで
とても処女作とは思えない完成度の高い作品です。
この本は大きく分けて3つの作品があります。
1キッチン →表題作。みかげが雄一、えり子親子のもとで居候し、立ち直っていきます。
2満月 →「キッチン」のその後。えり子が亡くなり、雄一とみかげが再び同居する ところから始まります。
3ムーンライト・シャドウ→恋人と恋人の弟の彼女が亡くなってから立ち直っていく物語。
卒業制作で書いた作品で、学長賞を受賞しているらしい。
という構成です。
3作品に一貫しているのは「人の死」です。
「キッチン」ではみかげの祖母、「満月」では雄一の母えり子、「ムーンライト・シャドウ」は恋人とみな死に目に遭います。
物語が進むにつれ、それぞれの登場人物たちがそれぞれの方法で立ち直っていきます。
身近な人が亡くなったとき、人はおそらく深い絶望にとらわれるかと思います。
それでもそれぞれの時を生きていかなければなりません。
えり子がみかげに語る言葉が深いです。
人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。
そしてこの言葉が、優しくそっと救ってくれます。
死を乗り越えた先にある言葉です。きちんとその時々に感情を置き去りにしたり、冷静に自分に向き合わないと大変なことになる気がします。
「キッチン」では、雄一とえり子の優しさのおかげで、みかげは徐々に祖母の死から立ち直っていきます。
「満月」では、えり子の死を受け入れ切れていない雄一が物語の最後で旅に出ます。みかげは予感しました。雄一がこのまま消えてしまうのではないかと。みかげは出張先から雄一のもとにかつ丼を届けに行きます。
「ムーンライト・シャドウ」は、恋人の死を受け入れることのできない私が、偶然出会った彼女によってもう一度恋人と再会します。
でも最後の言葉はすごいです。幸せになりたい、川の流れのように出会う人、別れる人様々いる。手を振ってありがとう。
もはや、未練がないです。すごい立ち直り方。
■最後に
3作品とも「死」がテーマとして流れています。
それぞれの登場人物たちがそれぞれの方法で立ち直っていきます。
優しい人たちの何気ない言葉に支えられて立ち直っていきます。
重いテーマを扱いながらも、優しい言葉で包まれている作品です。
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