ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

小説 恋愛 文庫本 男と女

【男と女】46.『夏の終り』著:瀬戸内晴美

投稿日:5月 15, 2017 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は瀬戸内晴美の『夏の終り』です。

夏の終り (新潮文庫)

 

■あらすじ

著者の瀬戸内晴美さんというのは、出家する前の瀬戸内寂聴さんのことです。

大きく分けると2つの作品で構成されています。

表題作の主人公は、8年間妻子ある男との不倫に疲れてきた女知子。

少しずつ読み進めると主人公のもとに夫と別れる原因の男と再会し、その男とも関係を持つようになります。

しかし、どちらの男と関係を持っていても不思議と本当の意味で満たされることがなかった…。

 

■作品を読んで

この作品は作者の実話です。本当にこの泥沼三角関係に陥ったそうです。

とは言え、読み終わった後の感想は「なんてむなしいんだろう」。

不倫しているのに、語り口は恐ろしくあっさりとしています。

この知子という女性、不倫はしていますが、染め物の仕事できちんと経済的に自立しているせいか、かなり堂々と生きています。

その自立心が2人の異なる男の愛を受けることに対して何か麻痺したものをもたらしているのではないかと思います。

知子という女性は本質的には賢い人だと思います。いつか必ず別れの時が来ることを、その時の覚悟はできていること。

だけど、この2人の男に関してはダメです。

2人の男がいることに満足し、安息の場所を得ている自分に酔っているのです。

後にどちらの男とも別れることになります。

きっと中途半端ではダメなのだということに気がついたのでしょう。

それに8年が経過しました。いつの間にか知子は30歳から40歳近くなり、男も40歳から50歳になります。

男の姿を改めてみると老いを垣間見、自分に照らし合わせます。

ここまで旅をともにしていたのだなと実感するのです。

物語の最後で花びらが知子のもとに落ちます。

この情景の描写がなんとなく静かに熱く燃えた恋に終止符を打ったことを予感させます。

この作品は、本当にむなしいのですが、妙にあっさりとしています。

なんというか、読んでから何年たっても印象が忘れられません。

■最後に

寂聴さんにんついて調べるとすごい名言が出てきました。

「本当のね、恋の醍醐味は不倫ですよ」

この作品を読むとこの名言の重みがものすごくわかります。寂聴さん、ある意味すごいです。

すごく妙な印象を残す作品です。

 

 

-小説, 恋愛, 文庫本, , 男と女

執筆者:


comment

関連記事

【希望の物語】420.『とわの庭』著:小川糸

こんばんわ、トーコです。 今日は、小川糸の『とわの庭』です。   ■あらすじ とわは目が見えず、母親を頼りに生きています。目は見えないけど、小鳥のさえずりや庭の花のにおいはわかります。 しか …

【最後のエッセイ】210.『夜中の薔薇』著:向田邦子

こんばんわ、トーコです。 今日は、向田邦子の『夜中の薔薇』です。 新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)   ■あらすじ 鋭い感性と好奇心が惜しみなく発揮されたエッセイが収録されています。 著者 …

【SF小説?】337.『存在しない時間の中で』著:山田宗樹

こんばんわ、トーコです。 今日は、山田宗樹の『存在しない時間の中で』です。 存在しない時間の中で (角川春樹事務所)   ■あらすじ 多くの研究者が集まり、宇宙に関する研究で日本を代表する研 …

【未来はあるか】164.『格差と階級の未来』著:鈴木貴博

こんにちは、トーコです。 今日は、鈴木貴博の『格差と階級の未来』です。 格差と階級の未来 超富裕層と新下流層しかいなくなる世界の生き抜き方 (講談社+α新書)   ■あらすじ 副題に書かれて …

【再生の物語】297.『雪のなまえ』著:村山由佳

こんばんわ、トーコです。 今日は、村山由佳の『雪のなまえ』です。 雪のなまえ   ■あらすじ 雪乃は東京に住む小学5年生。しかし、無視されている友達に話しただけで、いじめにあい、学校に行けな …