こんばんわ、トーコです。
今日は、原田マハの『フーテンのマハ』です。
■あらすじ
著者はとにかく旅が好き。グルメ旅、陶器、絵画、さらには取材など、とにかく旅に出ることが多い著者。
そんな著者が「男はつらいよ」の寅さんから「フーテン」と称し、親友やスタッフを伴ってあっちこっち旅に出るエッセイです。
■作品を読んで
原田マハさんの作品はいくつか紹介しています。
21は旅に出ることを仕事にしている売れないアイドルのお話です。
109はモネについてまとめた新書で、この1冊でモネとその周辺の絵画史がかなりわかりやすくまとめられています。
話を戻して、この「フーテンのマハ」はとにかく爆笑です。なんか、エッセイに必ず笑わせるポイントがある。なんだか楽しそうな旅、いいなあ。出たい…。
親友と出る、「ぼよグル」という旅。40歳になって久しぶりに会った親友との旅で、年に4,5回出ているので、担当編集者からも「またぼよグルか」と言われるほど。
でも、こうして気心しれた仲間と旅に出るのはいいことだし、まあうらやましい。
なかなか予定合わせるの難しいはずなのに。まあ、旅の終わりに「次どこいく?」が決めるのがポイントかもしれない。そうすれば、次があるから。
エッセイに出てくるグルメの描写もすごいです。名物の焼きそばが、熱々で急いで食べているその場の臨場感が良く伝わってきます。
なんだか、じっくり食べてみたいなあと思わせます。食べものの描写がおいしそうな人は作家としても大丈夫かとトーコは信じていますので、安心できます。
「食い倒れ日記」と書いていますが、著者の代表的な作品の執筆秘話的なエッセイも収録されています。
こちらはいたって真面目かと思いきや、やっぱり笑わせてくれます。
ルーブル美術館に夜間に行き、閉館間際に肖像画にじっと見られているなかで猛ダッシュしたとか、おいおいと突っ込みたくなります。
でも、アート関連の仕事をしていた著者だけあって、絵画への思い入れは半端ないです。
絵画を友人たちと言えるのですから、相当なもの…。トーコも絵画は好きですが、この領域ではないので、尊敬します。
だからこそ、この著者は絵画を基にした小説が書けて、結構面白いんだなと思いました。
新書サイズで解説を書いてもそこそこ絵の知識のある人でも復習になったり、初心者にもわかりやすく書くことで、もっと絵画鑑賞のきっかけとなってほしいことがなんとなく伝わってきます。
そりゃまあ、「アート小説を書くための旅」が必要ですから、ますます「フーテン」を続けることでしょうね。
■最後に
おいしいものを気心知れた友人とめぐる旅もよし、取材の旅でもよし。旅の形は人それぞれです。
また、著者のアート小説が面白い理由がよくわかりました。
今後どんな作品が登場するか、期待したいです。
[…] 126.「フーテンのマハ」 […]