こんばんわ、トーコです。
今日は、ビートたけしの『浅草キッド』です。
■あらすじ
大学を中退し、ぶらぶらしていた著者が浅草のフランス座に飛び込み、深見師匠をはじめ多くの愉快な人々に囲まれながら、芸人修行の日々を記したエッセイ。
映画「火花」の主題歌となった「浅草キッド」と大いに関係があります。
■作品を読んで
ちょっと話はそれますが、歌版の「浅草キッド」は著者のビートたけしも唄っています。
ラジオでたまたまたけしバージョンが流れていましたが、実話のだけあって本人が歌うと凄みがあります。歌がうまい、下手を通り越すというのはまさにこのことです。
興味がわいた方、是非聞いてみてください。ちなみにですが、2019年の紅白で歌いました。まあ、びっくり。
戻りましょう。世の中は安保闘争の真っ只中、大学を中退し、このままではまずいと思って芸人になることにしたそうです。
修行先の浅草フランス座はストリップ劇場で、お笑いは前座。それでも、深見師匠のダンディさと今どきなかなかない粋な雰囲気はなかなかないです。そのうえ、笑いのセンスはなかなかです。
さらに言うと、著者がこの師匠から1番最初に教わったのは、タップダンスです。
世の中は便利なもので、YouTubeに著者がタップダンスをする映像があります。
やる気はあんまりなさそうな顔をしながら、見事なタップダンスをする映像でした。
これも興味のある方はぜひ見てください。
こういう意味の多芸な人の奔りは深見師匠だったのだなとつくづく思います。
それにしても、この師匠、作品を読む限り、今の世の中にいたらさぞかし大変でしょうね。型破りだし、〇○ハラスメントが結構な勢いでつきそう…。
師匠だけではありません。劇場にいる踊り子たちもなかなかキャラの濃い人たちが集まっています。
師匠の妻だった志の川の姐さんもすごいです。ストリッパーなのに、なぜか笑いを取ってたり。
さらには、ほかの踊り子も食べものを分けてくれたりと結構面倒見のいい人たちが集まっていたようです。
なんというか、映画監督の源流はここにあるんだなと思ったエピソードは、進行係に昇進したという話。これ、すごいですよ。
仕事内容が、舞台の幕引き、ステージの時間調整、踊り子の誘導、小道具の運搬など、舞台と踊り子の世話です。何となく、監督としてデビューする頃には、表現したいものとその方法論がわかっていたんだなと思いました。
エッセイの最後で、深見師匠は亡くなります。師匠のもとを離れ、やがて漫才ブームがやってきて師匠に恩返しができるようになった頃だったそうです。
自宅アパートの火災による焼死だったそうです。著者は「酔っぱらって自分で自分を焼いてしまったのだ」と毒づいています。
芸人として超えることのできない存在、それが深見師匠だったそうです。
■最後に
著者の笑いありの修行時代が書かれています。結構シリアスな部分をかいつまんで紹介しましたが、かなりくすくすと笑ってしまう話が多いです。
深見師匠の生き様はかなりかっこいいです。なんというか、芯のある。
修行から売れるまでのエピソードが主で書かれています。
この本を読むと改めてビートたけしの凄さがわかります。彼が多才な理由がよくわかりました。