こんばんわ、トーコです。
今日は、長沼毅の「世界の果てに、ぼくは見た」です。
■あらすじ
著者は、世界中の極限環境にいる生物を探す吟遊科学者だそうです。
極限環境というと、砂漠、北極、南極、果ては宇宙まで。
そんな著者と一緒に知の旅に出かけましょう。
■作品を読んで
これ、面白いです。
あまり生物の話の本って読まないのですが、すごくこの作品はとっつきやすいです。
なんというか、世界ってこんな風に広がっているんだなと感心してしまいます。
その一方で、知識の解説もかなり面白いです。くすくす笑えます。
1番面白いのは、南極・北極調査の金銭事情かもしれないです。
なぜって、一般ピープルには永遠に知る機会何ぞないので、こういった事情を垣間見ることができていいです。
この裏事情的な話がトーコはふむふむと思いました。
南極調査は原則主催国が経費を持たないといけないそうです。
なので、著者もチリで南極調査船に乗るまでの経費は自分で持たないといけませんが、調査費用は国の補助金で行われるそうです。また、手当も支給されるとか。
良かった、たまには国の補助金が有用に使われている。
後は、南極に行く際には環境省へ届け出か確認申請を忘れずに。
一方、北極調査は全額自分持ちなので、ヘリコプターのチャーター料は400万円かかったとか。
ちなみに、北極研究拠点のスピッツベルゲン島は、病気になると島から出ていかないといけないそうです。しかも、島に遺体を埋葬することもできないそう。
だから、ここを終の棲家とした場合、死ぬときはどうすればいいのやら。
それにしても、いろいろな風景が見えてきます。
サハラ砂漠、地球の中心、ニッポンだったり、北極や南極、宇宙だったり。
高い塔を登ってみたときのエッセイには、同じく高い塔を詠んだ歌を引用したりと生物学者なのかこの人、と突っこみたくなります。
まあ、こういう方嫌いではないです、というかむしろ好きです。
生物の話をしているのかと思えば、ちょっと文学チックな話をしたり、なんだか辺境の世界にゆるーく連れていかれます。
偏西風の中に微生物がいるみたいです。その空中微生物の採取が本業らしいのですが、文章を読んでいると科学全般に詳しいのと、民俗学とか関連学問にも精通しているので、話があっちへいったり、こっちへ行ったりするのでしょう。
それもまた、このエッセイの魅力でもありますが。
■最後に
辺境科学者による研究や探索の中の出来事を綴ったエッセイです。
面白さやツッコミどころも満載ですが、生物の世界をはじめ、科学全体へと様々な世界に連れていかれる本です。