こんばんわ、トーコです。
今日は、大浜啓吉の『「法の支配」とは何か』です。
■あらすじ
突然ですが、あなたは「法の支配」という言葉を聞いたことがありますか?
おそらくですが、聞いたことがあるかと思います。学校の授業でも出てきます。
でも、ひょっとしたら私たちは「法の支配」を正確に理解していないかもしれません。
誤用の多い言葉ですが、奥の深い言葉でもあります。
■作品を読んで
タイトルの脇に書かれている「行政法入門」という言葉に惹かれ、手に取った本です。
そもそも、「行政法」という名前の法律はなく、公法と私法という分類の公法の分野になります。
「行政法」それ自体は、「行政の組織、行政の活動、その活動から生ずる紛争の処理、ないし私人の権利救済に関する法をいう」と定義されています。
ま、要はですが「行政法」というのは行政に関する法律をひとくくりした言い方になります。
本書は、行政法の入門というよりは、あくまでも「法の支配」にフォーカスし、行政法は
「法の支配」を紐解くための手段ですので、御間違いのないように。
本書では、「法の支配」を見ていくために歴史面から紐解いていきます。
歴史だと、古代ローマから法の支配が確立した中世、近世まで見ていきます。
国家と法の関係を主に見ていきます。
ここで驚くのはすべて聞いたことのある知識がもとに展開されています。
ただ、聞いたことがある知識もすべて断片的なので、なかなかつながりを持ってみる機会がなかっただけなのかもしれません。
「法の支配」の定義は様々です。
広い意味であれば、「人による支配ではなく、法による支配を意味する」
狭い意味であれば、「政府は法によって支配され、法に服すべし」と解釈は可能です。
なんというか、現在「法の支配」の意味はこの両極端に解釈されていると言っても過言ではないです。
これでは、本質的には一緒のはずなのにいろいろと混迷を深めています。
この意味を踏まえて、近代以降の憲法や国家の在り方を見ていきます。
最終章では、「法の支配」を説きつつも、個人が社会における自己実現と、自己表現を通して国会の意思決定に関与するための自己統治を確保するためにどうすればいいのかを考えていきます。
何を言っているのでしょう。簡単に言うと、国民が「法の支配」に関わるためには、議院内閣制にフォーカスを当てる必要があります。
議院内閣制が出てくるのが実に突拍子もなさそうに見えます。そりゃそうですわね、関係なさそうですもの。
でも、現代日本で国民が代表を選び、民意を反映する仕組みという意味でも、議会と内閣が独立しているというのポイントが重要になります。
主に選挙について論じていますが、なるほどなと思いました。
■最後に
長々と書きましたが、本書では行政法から見た「法の支配」を見ることができます。
意外と知っているようで、知らなくて、説明のしづらい言葉ですが、奥の深い世界が隠されています。