ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

小説 文庫本 社会

【考えさせられる本】36.『ソロモンの偽証』著:宮部みゆき

投稿日:5月 2, 2017 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、宮部みゆきの『ソロモンの偽証』です。

ソロモンの偽証 全6巻 新潮文庫セット [文庫] [Jan 01, 2014] 宮部 みゆき [文庫] [Jan 01, 2014] 宮部 みゆき [文庫… [文庫] [Jan 01, 2014] 宮部 みゆき

 

■あらすじ

ある冬の日中学生が自殺したところから物語は始まる。

ところが、自殺したと思っていたら、自殺ではなく殺害されたという告訴状が届いたり、マスコミに騒がれたりと様々な伏線が現れてきます。

マスコミに騒がれてしまったことで生徒たちは学校からの情報を信じるべきなのか、マスコミを信じるべきかわからなくなります。

そこで中学生たちは夏休みを利用して学校内裁判を行うことにしました。弁護人にはなぜか他校の生徒が現れますが。

裁判をする中で徐々に真実が明らかになります。果たして結末は…

かなりの長編で文庫本で全6巻というボリュームですが、すごくあっという間に読める本です。

 

■作品を読んで

この本は本当に深く考えさせられます。

今の教育の現状、学校問題に関してのマスコミの報道、親や先生の反応、中学生の心。

著者は様々な伏線をうまく入れてしまっています。すごいとしか言いようがありません…。

私たち大人でも傷つくことは多いのに、この生徒の自殺という問題はただでさえ中学生の傷つきやすい心にダメージを与えます。

この中学生たちが選んだ答えは自ら裁判を行うことでした。それを自ら裁くことによってこの問題に向き合おうとしました。

周りの大人たちにはわからないし、理解しきれないことですが、当事者である中学生に通手は必要なことです。

それが周囲の都合の悪い大人から見て例え、例え悪いことをしていたとしても。

そこで様々な事情や事実を知ることになります。

時に真実が残酷だとしても、問題から逃げずにきちんと向き合うことを選んだ中学生たちがすごくあっぱれです。

 

■終わりに

子どもたちの問題に大人はどう向き合うといいのか。かつて中学生だった私はどう考えたのでしょう。

そんなことわかるわけではないのですが、もっと早く(あと10年)読みたかったです。

できれば中学生の時期にリアルタイムで読みたかったです。でも今読んでも遅くはないです。

この本には伏線がたくさん詰まっていて、教育をめぐる様々な問題がたくさん提起されています。

中学生のあなたも、大人になってしまった方も、特に長期休みとかをうまく使って一気に読んでほしいです。

 

-小説, 文庫本, , 社会

執筆者:


comment

関連記事

【男と女の本質】119.『抱く女』著:桐野夏生

こんばんわ、トーコです。 今日は、桐野夏生の『抱く女』です。 抱く女 (新潮文庫)   ■あらすじ 時は1972年、学生運動真っ只中な世の中が舞台です。 20歳の大学生直子は世の中に違和感を …

【本当の原因】376.『資本主義の方程式』著:小野善康

こんばんわ、トーコです。 今日は、小野善康の『資本主義の方程式』です。   ■あらすじ 順調に成長した昭和時代。しかし、平成になり成長が鈍化し、今に至っています。しかも、経済学では説明がつか …

【再生の物語】297.『雪のなまえ』著:村山由佳

こんばんわ、トーコです。 今日は、村山由佳の『雪のなまえ』です。 雪のなまえ   ■あらすじ 雪乃は東京に住む小学5年生。しかし、無視されている友達に話しただけで、いじめにあい、学校に行けな …

【本に救われる】418.『人生の土台となる読書』著:pha

こんばんわ、トーコです。 今日は、phaの『人生の土台となる読書』です。   ■あらすじ 読書には2種類あるのは、ご存知でしょうか。「すぐに効く読書」と「「ゆっくり効く読書」です。 一見する …

no image

【不思議な本】30.「ベロニカは死ぬことにした」著:パウロ・コエーリョ

こんばんわ、トーコです。 今日はパウロ・コエーリョの「ベロニカは死ぬことにした」です。 ベロニカは死ぬことにした (角川文庫) ■あらすじ ベロニカは若くて美しく、恋人も家族も仕事もあってどこからどう …