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小説 文庫本

【考えさせられる本】26.『八日目の蝉』著:角田光代

投稿日:4月 21, 2017 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、角田光代の『八日目の蝉』です。

八日目の蝉 (中公文庫)

■あらすじ

野々宮希和子は妻子ある男性と恋愛関係にありました。そしてこの男性との子供を身ごもったが、中絶しました。

だが、男性のほうは妻との間に子供ができていました。希和子は赤ん坊見たさに男の家に侵入し、その赤ん坊を連れ去ります。

赤ん坊は薫と名づけられ、希和子とともに様々な場所に逃げながら生活をともに送ります。それから薫の4回目の誕生日を迎えた直後、希和子は逮捕されました。

元の家庭に戻った薫もといい恵理菜は大学生になりました。彼女も妻子ある男性を好きになり、彼の子を身ごもります。

そんなある日希和子の逃亡先にいた千草という女性が惠理菜の前に現れます。


■作品を読んで

前回の「海を照らす光」を読んでいたら、すごくこの作品と設定が似てると思い出して記事にしています。

ただ、こちらの作品は希和子の視点と成長した惠理菜の視点で構成されています。

希和子との逃亡生活が終わり、本当の家族のもとに戻っても、自分の家に居場所がないような気がしていました。

恵理菜には全く関係のない理由で連れ去られたのに、居心地の悪いというのは最悪です。

大学生になり、バイト先の社員さんと恋愛関係になりました。しかも、この社員さん、なんの因果か妻子持ち。

惠理菜は子どもを身ごもったことを知ってから、やっと自分の問題に向き合うことに決め、千草とともに、希和子と逃げた逃亡先を訪れる旅に出ます。

千草とともに、様々な場所を訪ねてながら、そこで惠理菜は気づくのです。

憎しむことで楽になり、自分が救われる。だけど本当は憎みたくないし、より窮屈な場所に自分を追い込めることになる。その連鎖から断ち切らないといけないこと。

最後の文章はまるですべてを包むように終わります。

 

■最後に

映画化された作品という謳い文句は大概騙されないぞと思い近づかないトーコですが、この作品はやられます。

ここではない場所に連れていけるのは私だけ、と惠理菜は言います。が、その通りです。彼女は現実にきちんと向き合います。

すごく深いテーマを扱っているのですが、かなりスリル満点な作品です。

 

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