ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

人生 介護 外国小説 短編集

【老いるということ】233.「体の贈り物」著:レベッカ・ブラウン

投稿日:5月 5, 2020 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、レベッカ・ブラウンの「体の贈り物」です。

体の贈り物 (新潮文庫)

 

■あらすじ

ホームケア・ワーカーとして働く私は、重い病に侵され、死が迫った人々の身のまわりの世話をしている。

そんな人々との交流はうれしいこともあり、つらいこともあるが、死は逃れようもない。

そんなかけがえのない小説の贈り物である。

 

■作品を読んで

トーコがまだ若干若いせいか、この作品に出てくるホームケア・ワーカーと彼女たちに世話をされる病を抱える人たちになかなか共感できる部分が少なかったです。

ただ、この作品でに起こっていることについては目を逸らしてはいけないし、無視してはいけないだろうなと思います。それは将来自分に、家族に起こることなのですから。

なので、きっとこの作品に出てくるシュチュエーションはいつか起こることとして心の中にとどめておきたいです。

さて、作品です。

1番印象に残っているのは、主人公のホームケア・ワーカーがケアをしている人たちが病状が悪化し、やがて亡くなっていくのを見るにつれ、だんだんと新規の担当を増やさず、やがて仕事をやめることを検討し始めたことです。

ちなみに、ホームケア・ワーカーとは直接介護する人ではなく、買い物、料理、洗濯、部屋やバスルームの清掃などを担当する人です。

ホームケア・ワーカーという言葉を使用しているのは、おそらく適切な訳語がないからでしょうね。家政婦とはまた違いますからね、この場合。

容体が良くならない人たちを相手に日々奮闘する私は、きっとつらいことの方が多い気がします。

今まで当たり前のようにできていたことができなくなって失望したり、親しくしていた人がどんどん亡くなっていったり、しまいには体が言うことを聞かなくなったり。

それでも受け入れようともがく姿に、ホームケア・ワーカーの私ははっとするのと同時に受け止めようとします。最初の贈り物で出てくるリックはまさにそれを示してくれます。

とはいえ、受け止めようと精一杯頑張った私も、物語の終盤で限界を迎えてしまったのでしょうね。

もともと入れ替わりの激しい仕事で、2年もいるだけでベテランと呼ばれてしまうのですから。

リックだけではなく、コニー、エド、カーロス、マーティ…。

どの場合も、最後は彼らの死に行きついてしまいますが、「贈り物」として前向きなものをわたしたちに贈っています。

また、あとがきで訳者(柴田元幸さん)がこう述べています。

この要約だけで、「私パス。」とか、「それ、ちょっと」と思う方がいるかもしれないけど、どれかの贈り物を読んで「あ、いいな」と思ったら、是非読み進めてほしい、と。

確かに、拒否しそうな人が多いあらすじ内容ですが、目をそらさず読んでほしいです。

 

■最後に

若い人だと死が少しずつ迫っている人を世話する人の話と言われても敬遠してしまうかもしれません。でも、何か前向きなものをプレゼントしてくれます。

目をそらさず読んでほしい本です。

 

-人生, 介護, 外国小説, , 短編集

執筆者:


comment

関連記事

no image

【開国黎明記】102.『海の祭礼』著:吉村昭

こんばんわ、トーコです。 今日は、吉村昭の『海の祭礼』です。 新装版 海の祭礼 (文春文庫)   ■あらすじ ペリーの来航前、日本に憧れたラナルド・マクドナルドはボートで利尻島に上陸した。 …

【考えるきっかけ】239.「本当の貧困の話をしよう」著:石井光太

こんばんわ、トーコです。 今回は、石井光太の「本当の貧困の話をしよう」です。 本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式 (文春e-book)   ■あらすじ ここで、貧困と聞かれてたらどう …

【あの日のこと】223.「暗い夜、星を数えて」著:彩瀬まる

こんばんわ、トーコです。 今日は、彩瀬まるの「暗い夜、星を数えて」です。 暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出 (新潮文庫)   ■あらすじ 2011年3月11日、著者は福島県に …

【作家になる前の日】381.『田辺聖子十八歳の日の記録』著:田辺聖子

こんばんわ、トーコです。 今日は、田辺聖子の『田辺聖子 十八歳の日の記録』です。   ■あらすじ 田辺聖子は、令和元年に亡くなりました。それから遺族が遺品を整理した際に、古い手帳が見つかりま …

【考えたこと】202.『やがて満ちてくる光の』著:梨木香歩

こんばんわ、トーコです。 今日は、梨木香歩の「やがて満ちてくる光の」です。 やがて満ちてくる光の   ■あらすじ 著者が作家としてデビューしてから初期のころからの雑誌等に連載したエッセイをま …