こんばんわ、トーコです。
今日は、レベッカ・ブラウンの「体の贈り物」です。
■あらすじ
ホームケア・ワーカーとして働く私は、重い病に侵され、死が迫った人々の身のまわりの世話をしている。
そんな人々との交流はうれしいこともあり、つらいこともあるが、死は逃れようもない。
そんなかけがえのない小説の贈り物である。
■作品を読んで
トーコがまだ若干若いせいか、この作品に出てくるホームケア・ワーカーと彼女たちに世話をされる病を抱える人たちになかなか共感できる部分が少なかったです。
ただ、この作品でに起こっていることについては目を逸らしてはいけないし、無視してはいけないだろうなと思います。それは将来自分に、家族に起こることなのですから。
なので、きっとこの作品に出てくるシュチュエーションはいつか起こることとして心の中にとどめておきたいです。
さて、作品です。
1番印象に残っているのは、主人公のホームケア・ワーカーがケアをしている人たちが病状が悪化し、やがて亡くなっていくのを見るにつれ、だんだんと新規の担当を増やさず、やがて仕事をやめることを検討し始めたことです。
ちなみに、ホームケア・ワーカーとは直接介護する人ではなく、買い物、料理、洗濯、部屋やバスルームの清掃などを担当する人です。
ホームケア・ワーカーという言葉を使用しているのは、おそらく適切な訳語がないからでしょうね。家政婦とはまた違いますからね、この場合。
容体が良くならない人たちを相手に日々奮闘する私は、きっとつらいことの方が多い気がします。
今まで当たり前のようにできていたことができなくなって失望したり、親しくしていた人がどんどん亡くなっていったり、しまいには体が言うことを聞かなくなったり。
それでも受け入れようともがく姿に、ホームケア・ワーカーの私ははっとするのと同時に受け止めようとします。最初の贈り物で出てくるリックはまさにそれを示してくれます。
とはいえ、受け止めようと精一杯頑張った私も、物語の終盤で限界を迎えてしまったのでしょうね。
もともと入れ替わりの激しい仕事で、2年もいるだけでベテランと呼ばれてしまうのですから。
リックだけではなく、コニー、エド、カーロス、マーティ…。
どの場合も、最後は彼らの死に行きついてしまいますが、「贈り物」として前向きなものをわたしたちに贈っています。
また、あとがきで訳者(柴田元幸さん)がこう述べています。
この要約だけで、「私パス。」とか、「それ、ちょっと」と思う方がいるかもしれないけど、どれかの贈り物を読んで「あ、いいな」と思ったら、是非読み進めてほしい、と。
確かに、拒否しそうな人が多いあらすじ内容ですが、目をそらさず読んでほしいです。
■最後に
若い人だと死が少しずつ迫っている人を世話する人の話と言われても敬遠してしまうかもしれません。でも、何か前向きなものをプレゼントしてくれます。
目をそらさず読んでほしい本です。