こんばんわ、トーコです。
今日は、小川糸の『キラキラ共和国』です。
■あらすじ
鎌倉で文具店兼代書屋を行う鳩子の元には、さまざまな境遇の人からの代書の依頼が絶えない。
その一方で、バーバラ婦人をはじめとしたご近所さんや、新しく家族となったモリカゲさんとQPちゃんとの日々も描かれています。
■作品を読んで
前作「ツバキ文具店」の続編です。ずいぶん前に「ツバキ文具店」の紹介をしていますので、よかったらどうぞ。
前作の登場人物はそのままに、モリカゲさんとQPちゃんが家族として仲間入りしました。
始めは別居でスタートしていた新しい家族生活も、モリカゲさんのお店の移転を機にツバキ文具店の母屋で同居することになります。
モリカゲさんの実家に行って、家族として受け入れてもらえたころから同居は考えていたみたいですが。
なんだか、家族が徐々に家族になる様子を見ることができます。
ほほえましいですし、家族っていいんだなと思ってしまいます。
他にもですが、おいしいものを自分1人だけで食べているときのこと。
おいしいものをおいしいねと楽しめる相手がいないことに寂しさを感じる鳩子がいました。
今までは1人でも寂しくなかったのに。心境の変化でしょうかね。
こんな時に、鳩子はモリカゲさんに言われた言葉を思い出します。
失くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っているものを大事にすればいいんだって。
実はこの言葉、前作の「ツバキ文具店」でも取り上げています。
その時は、先代との関係をうまくとらえることができなかった鳩子にとってはすごく響く言葉でした。
でも、今作ではQPちゃんの生みの母でモリカゲさんの前妻の美雪さんの遺品をどうするべきかを悩んでいる時にこの言葉を思い出しました。
美雪さんという存在は、新しい家族になるために必要な、というか乗り越えないといけないポイントでもありました。
でも、そこは上手く乗り越えます。否定をするのではなく、感謝やひょっとしたら友情だってあり得たのかもしれない。
同じ男の人を好きになることができたのだから、きっと共通ポイントが見つかって友情だって芽生える。
なるほどなあ、と感心します。
他にも、前作と同じくさまざまな登場人物が登場します。
お隣のバーバラ婦人。バーバラ婦人は時にQPちゃんの良き遊び相手にも変身します。
男爵とパンティーに子供ができました。でも、男爵に病気が見つかって鳩子に遺書を書いてほしいと依頼します。とはいえ、男爵だって幸せなはずです。
さて、鳩子は男爵の遺書をいつ書くのでしょうか。
他にもさまざまな事情を抱えた人からの代書の依頼があります。
ツバキ文具店は忙しくも、日々を確実に過ごしています。
そうやって、月日が経つのが一番いいのですが、なんだか日々バタバタしている身からするとこの作品のように静かに淡々と感がうらやましいです。
一体どうすれば実現するのでしょうかね。
■最後に
「ツバキ文具店」のみなさまが帰ってきました。今度は新しい家族とともにです。
少しずつ家族に近づいていく様子は、非常にほほえましいです。
登場人物たちもお変わりなく、穏やかな気持ちになれる作品です。
[…] 206.『キラキラ共和国』 […]
[…] 74.『ツバキ文具店』、163.『サーカスの夜に』、206.『キラキラ共和国』、237.『洋食小川』 […]