こんばんわ、トーコです。
今日は、北村道子の『衣裳術』です。
■あらすじ
北村道子さんは、数々の映画でスタイリストを務めてきました。
そんな彼女が語る衣装についてのインタビューと、数々の映画でのスタイリング写真を収めた一冊です。
■作品を読んで
写真のページからスタートしますが、なかなかにインパクトを残す衣裳だなと感じました。
この本を読んで1番印象に残ったことは、服を着るという行為は様々なものをもたらすということです。
服を着るということは生きているうえで当たり前です。
裸でもいいけど、隠したいところはあるし、寒いし。
ひょっとしたら、人によっては身だしなみの上で失礼のないようにのレベルでしか考えていないこともあるかもしれません。
でも、殊映画の世界では衣裳によって印象も観客に与えるインパクトも変わってくる気がします。
例えば、「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘップバーン。
オードリーが着てた黒のドレスは映画を見たことがなくても、写真を見れば「あっ!」となる人もいるかと思います。
あの黒のジバンシィのドレス=オードリー・ヘップバーン=ティファニーで朝食を、という図式の人もさぞ多いことでしょう。
それくらいに衣裳は映画を象徴的に表すこともあります。
さてここで、著者について語ります。
著者は石川県出身で、学校での授業に価値は見出さず、校長先生の知り合いと授業を受けていたそう。
学校では問題児扱いだったそうですが、校長先生の知り合いが結構強烈なキャラだったらしく自分で考えることを学んだとか。
18歳からアメリカなど世界中を回り、30歳になって広告の仕事を始める。
それからしばらくして、映画のスタイリストに指名され、以後何作かに関わる。
衣裳の写真を見ると、本当に写真だけでも映画の世界観が伝わってきます。
イノセントなもの、ピュアなもの、ピュアだけでない何かなど。
衣裳についての様々な裏話が語られています。何というか、衣裳に関しては監督と同じようなレベルで役ごとにドローイングしています。
ただ、2006年以降はやってるのかな?。
この作品の中では1回離れます、って語ってたので。でも、要請があれば復活している気がします。
ただし、日本の映画の状況を見れば何となくですが、この人の活躍できそうな映画がすごく少なさそう。
まず、日本の映画ってそんなに衣裳に凝った映画ってなかなかない気がします。
ってか、例えばですが、高校生の青春ものに凝った衣裳ってむしろいらない。普通に制服で十分。
カメラワーク、照明など細部に凝った映画というのは本当に少ないかもしれません。
というのも、最近日本の映画を映画館で観てないので。あらすじだけでいいなって思うものが皆無に近いので。
漫画原作も悪くはないですが、映画なんだからオリジナルで行こうよ、と思うこともありますが、おそらく費用面でも無理なんでしょうね。
費用面という言葉が出てしまえば、おそらく衣裳や照明といった撮り方の問題がなかなかおざなりになってしまうのでしょう。
そこを若干憂慮したのでしょう、というか合わないから1度身を引くと述べたのでしょう。
それにしても、著者の衣裳の中には何か著者にとって不変な精神であふれてます。
役に応じてキャラクターを服でうまく表現していますが、自分にとっての「道」もうまく入れ込んでいる。
自分を貫くっていろいろな意味でも難しいのに、与えられたものにうまく入れ込めるのはすごい。
そんな職業人で本当にありたい、とトーコは思うのでした。
■最後に
北村道子の衣裳術と仕事術が織り交ぜられています。
とても一貫していて、現代人が意外と忘れていたこともうまく表現されています。
彼女にとっての衣裳とは、映画とは、ファッションとはに迫れる本です。