こんばんわ、トーコです。
今日は清川あさみ・最果タヒの共著の『千年後の百人一首』です。
■あらすじ
百人一首を1000年後の世界で解釈してみるとどうなるのだろう。
清川あさみのかるたの絵札にしては美しすぎる絵と、最果タヒの百人一首の現代語解釈。
2つが合わさるとすごく鮮やかな世界が現れます。
■作品を読んで
清川さんの絵は、刺繍を施したり、ビーズを使って輝きを入れたり、糸を流したりなど様々な手法を使って作られています。
なので、本の写真になってしまうと、せっかくの魅力がなくなってしまうので、原画展の開催を強く望みます。
実物を見ないと面白くない。
タヒさんの解釈もすごいです。古典の訳から逸脱せず、歌に寄り添う詩がとても美しいです。
例えば、トーコが学校の授業で印象に残っている、「玉の緒よ…」で始まる歌。
この歌は、「我が命よ、絶えるなら絶えてしまえ。このまま生きていても堪え忍ぶ心が弱ってしまう」という現代語訳です。
ものすごく衝撃的な歌で覚えています。秘密の恋が結ばれることなく、しかも立場上恋愛が禁止のため、ばれても困ります。だったら今命が絶えてしまえ。恋を堪え忍ぶ意志が弱っても困るから。
この恋を自分の心にとどめておこう、と思う強靭な意思にあふれていて個人的には好きな歌なのです。
が、タヒさんすごいです。何というか、元の歌の世界を本当にとどめています。
しかも、より詠み人の秘密の恋を内側にとどめようとするものを感じます。
改めて、短歌のすごさを思い知らされます。百人一首の現代語訳を読みたくなりました。
大丈夫です。そんな人のために後ろのページに現代語訳があるというありがたい作りになっていますよ。
たった31文字の中にいろいろな掛詞をうまく入れて、歌や想いを作りこんでいるのですから。1000年前の日本人はすごい。
31文字のラブレターである短歌恐ろしや。
他にも、季節を表す歌には季節に合った現代解釈という詩と短歌の世界にあった絵が、すごく宝石のようにちりばめられています。
はっきり言ってすごい。
そして、この本1600円だから結構安い。
■最後に
千年後の百人一首は、元の歌の雰囲気を壊さず、現代解釈された元の歌の想いを汲んだすばらしい詩ときれいな作品が彩ります。
たった31文字で平安時代の貴族は様々な想いを表現しています。
百人一首をはじめとした短歌の凄さを改めて思い知ります。
読んでいても、見ていても美しく、楽しめる本です。