こんばんわ、トーコです。
今日は、近藤史恵の『スーツケースの半分は』です。
■あらすじ
第一話の主人公の真美は、ずっと行きたいと思っていたニューヨークに行けずにいた。
あるとき、偶然行ったフリーマーケットで青いスーツケースを見つけ、購入する。
行くのに躊躇していたが、ニューヨーク一人旅を決意する。
スーツケースの中にはあるメッセージが入っていた。
やがて、友人たちに貸し出され、いろいろなものを運んできたことから、幸運のスーツケースと呼ばれる。
■作品を読んで
この作品の本物の主人公は、青いスーツケースです。
なぜって、作品の中のすべての話にこの青いスーツケースが登場するからです。
スーツケースを買った真美に始まり、その友人たち。さらにはスーツケースを売った張本人とその家族。
なんとまあびっくりなことに、最後の話でスーツケースがなんでいるのかという話まで。
メッセージの由来も分かりますし、何よりスーツケースを巡る一連の物語が完結します。
すごく納得ができるし、ここから来たのかという由縁がわかります。
すごくスーツケースが旅の思い出だけでなく、縁など見えないものも運んでいます。
この作品は、スーツケースとともに旅する人々の様々な模様を描いています。
真美の友人のゆり香は旅先で恋人から置いてきぼりを食らっても、それまでバックパッカーとして世界中を回っていた経験をフル活用します。
また、アブダビはイスラム教で肌を露出する格好はNGだということを知っていたゆり香は、きちんと肌を見せない格好していました。
それを見た通りすがりの女性がゆり香を助け、文化を尊重してくれていることがうれしいと言いました。
思い出に残るのはどっちか、といわれれば明白です。置いてきぼりにする恋人なんてどーでも良くなることでしょう。
なんか、吹っ切れた感があります。
考えてみれば、スーツケースって旅をするのに1番使います。
しかもレンタルでない方はよほどのことがない限り、同じものを使い続けると思うんです。
買い換えるのが面倒ですし、いかにも旅してます感がいいんですよね。まさに、旅の相棒。
物語に出てくる青いスーツケースも、友人たちに貸し出されていくうちに4回旅して、地球1周よりも移動している。
そら、少しはドラマの1つや2つありますわな。
トーコも旅が好きなのですが、今のスーツケースは2代目です。エヴァでいうところの初号機。
しばらくの相棒にしたくて、とにかく丈夫で雑に扱われても頑丈かつ持っていてカッコいいものに。
だから、ふとこんなセリフが出てくるのでしょう。
スーツケースはパーティバッグよりもいろんな風景を見ることができるだろう。
ましてや、スーツケースが貸し出されてしまえば持ち主より様々な風景を見ることでしょう。
スーツケースほどボロボロになったり、ステッカーが貼られて貫禄が出るバックはない気がします。
■最後に
スーツケースが主人公の割合がすごく高いです。でも、スーツケースはそんなドラマを見ています。
青いスーツケースがきっかけとなり、旅に出たり、旅に出ることを後押しします。
また、新しいきっかけも運んできます。
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