こんばんわ、トーコです。
今日は、宮本輝の『田園発港行き自転車』です。
■あらすじ
会社員の川辺康平は、脇田千春の送別会を行っていた。千春は会社を辞めて故郷の富山に帰るらしい。送別会で熱く故郷について語る様子を見て、康平は千春の故郷が気になってくる。
送別会のあと康平は学生時代の友人日吉が経営するビストロバーに行き、そこで千春の故郷の話をする。
そこには賀川真帆という絵本作家がいた。彼女の父は15年ほど前に脇田千春の故郷の近くで突然亡くなったのだった。父はなぜ死んだのだろう。
真帆は京都の出版社の担当編集者の多美子とともに富山へ向かう。
■作品を読んで
さまざまな伏線が詰まっている本です。
下巻で登場人物たちの関係と伏線が少しずつつながっていきます。
1本になったときほんのわずかですが、奇跡が起こります。
それでも千春が故郷に戻り、1度再就職するも美容師を目指すために専門学校に通ったり、
真帆が絵本作家としてデビューするのもひょんなきっかけだったり、など人という点がどんどんつながってゆく様はすごく尊いものです。
あまりここまで人と人がつながっていく話というのは少ない(個人的には)ので、とても新鮮味があります。
つながりで思い出した作品は同じく宮本輝の「錦繡」だったりします。
過去に書いていました。よかったらどうぞ。
人生ってたとえどんな障害があったとしても、どこで何か見えるところ見えないところで助けてもらっていたり、つながっていてけっこうおもしろいものですね。
人生もなかなか悪くないなぁと思います。
物語の最後で伏線がつながります。ラストはすごく温かく、心地のよいものです。
また、著者があとがきで富山の風景の美しさがきっかけでこの物語を書いただけあって、四季折々の風景がとても目に浮かんできます。
風景描写はなかなかです。
■最後に
様々な伏線がらせん状につながっています。つながった先はとても温かく、感動的なものです。
風景描写もすばらしく、この目で見たくなります。
「つながり」がとても尊く、いとおしいものと感じさせる本です。
[…] 86.「田園発港行き自転車」 […]
[…] 23.「錦繡」、78.「ここに地終わり海始まる」、86.「田園発港行き自転車」 […]
[…] 23.錦繍、78.「ここに地終わり海始まる」、86.「田園発港行き自転車」、122.「青が散る」、211.「二十歳の火影」 […]