こんばんわ、トーコです。
今日は、小川糸の『ツバキ文具店』です。
■あらすじ
鳩子は鎌倉で先代(鳩子のおばあちゃん)から受けついだツバキ文具店を営んでいる。
そこでは文房具を売るだけではなく、手紙などの代筆屋も行っている。
また近所にはバーバラ婦人や男爵など個性的で楽しい隣人たちもいる。
ときに代書屋として壁にぶつかっても、様々な人たちを通して励まされたり、発見する。
■作品を読んで
なんというか、すごく心温まる作品だなと思います。
鳩子は先代に反発しながらも、代書屋を受け継ぐために鎌倉に戻ってきます。
そこでは、お隣のバーバラ婦人や男爵、ツバキ文具店にやってくるお客さん、物語の最後にはQPちゃんとモリカゲさん親子などたくさんの人たちとの出会いや交流が描かれています。
たくさんの人との出会いや交流ってその人を作るんだなとつくづく思います。
特にバーバラ婦人との交流の場面は、今どきにしてはなかなかないです。
なんというか、ご近所同士の程よい距離感がすごい。今どきないからすごい。
何度もしつこく書きますが、鳩子は先代が生きている間は素直に思いを伝えることなくこじれたままになっていました。
鳩子は先代に対して素直になれず悔やんでいました。
そんな鳩子にモリカゲさんは一言こういいました。
「失くしたを追い求めるのではなく、手のひらに残っているものを大切にすればいい」
取り戻せないものを悔やむのではなく、今あるものに目を向ける。冷静に考えれば当たり前。
だけど、鳩子が起こしたことも、先代がそうせざるを得なかったことも、当時の鳩子には全く見えていなかったのかもしれません。
過ぎ去ってみればなんで自分はそうしてしまったのか、もっと素直になればよかったと思う日が来たのでしょう。
トーコにだってなんであのときそんな行動に出たの?素直に聞けばいいじゃんと思うことは幾千もあります。
ただ、先代がいなくなって初めて気が付いたことなのかもしれません、鳩子にとっては。
いずれにせよ、鳩子にとってモリカゲさんの一言はまた一歩踏み出せるものになりました。
こちらの作品は続編もありますので、良かったらどうぞ。
■最後に
人を想う、出会いや交流を大切にすることがその人を作るんだなと思います。
また鎌倉の四季折々の風景や行事の描写はすごくリアルでちょっと見に行きたいです。
物語の中では、鳩子が人として一回り大きくなっていきます。
また、続編も出版されました。興味ある方はぜひ読んでみてください。
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