こんばんわ、トーコです。
今日は、遠藤周作の『白い人・黄色い人』です。
■あらすじ
「白い人」は、第二次世界大戦期にフランス人なのにナチスドイツに協力する主人公。
ある日昔の友が拷問を受ける姿を見る。その姿を見た主人公は…
「黄色い人」は、デュランという若いクリスチャンが日本に住み、かつての上司だった神父を官憲に売るという話。
どちらも人間の持つ悪魔性をあぶりだしています。
■作品を読んで
この作品は遠藤周作という人の今知られている代表作には含まれていません。
が、この「白い人」で芥川賞を受賞しています。又吉が受賞したやつです。
遠藤周作という人にとっては、この短編が出世作でもありました。また、著者はクリスチャンでもありました。
なので、著者の作品全体に言えるのは、キリスト教信仰をベースにした作品が多いです。
なんというか、作品の根底には信仰とは何ぞや、というものが流れています。「沈黙」しかり、「死海のほとり」しかりです。
余談ですが、「死海のほとり」という作品は、キリスト教の信仰を通して自分を見るので、なかなか作品としても奥が深いし、深い世界観がそこにはあります。
さて、作品に戻りますよ。
両作品に登場する人物は、なかなか人格に欠陥を備えている人間です。
それもたちの悪いことに、普段の日常生活の中では全く見えてこなくて、巧妙に隠して生きているのです。
「白い人」は特にこの主人公、なかなかの人格破綻者です。
主人公はフランス人ですが、ドイツ人の血をひいています。なので、ナチスのゲシュタポの手先になることが簡単にできました。
そこで、大学時代の友人だった神父の拷問に遭遇します。
主人公は本来拷問する人間ではありませんが、一瞬の隙を見て神父の拷問をします。
主人公の良心は完全に死んでるし、「悪への陶酔」のレベルが半端ないです。
それは、主人公の生い立ちや目覚めるきっかけを与えた出来事などをうまく織り交ぜています。
また、神父を慕うマリー・テレーズを責めることで、神父の口を割らせる作戦に出ます。
友人だったことをもはや最大限に生かしています。
結果として、神父は死にました。その時主人公は、悲しみというより、ひどい疲れに似ていたそうです。
なんか、無駄な疲れ状態に陥ったようです。
って、そうなるくらいなら、そうするなよ、とツッコミたくなりますが。
「黄色い人」の舞台は日本です。何というか、日本人の男が1番ずるいなと思います。
なんでかは、読んでみるとわかります。ですが、若干関連性がわかりずらくて、読みにくい部分が多々あるような気がしますが。
でも、この日本人は今の私たちを写しているようにも思います。面倒なことには巻き込まれたくないなんて、まさにザ・日本人。
どちらの小説も第二次世界大戦期を舞台にしています。なんでがはわかりませんが。
どちらも信仰をベースにした人間の持つ悪魔性を描いています。
■最後に
荒削りな部分も多々ありますが、この先の代表作につながる要素が満載です。
キリスト教信仰をベースに、人間の持つ残酷さを描いています。
人間の暗部を見るのはしんどいこともありますが、いろいろと深く考えさせられます。
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