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散文集 文庫本

【窓から見える風景】253.『戸惑う窓』著:堀江敏幸

投稿日:8月 15, 2020 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今回は、堀江敏幸の『戸惑う窓』です。

戸惑う窓 (中公文庫)

 

■あらすじ

窓って、いったい何だろう。

これまでに見てきた窓の数は枚挙にいとまないし、文学作品の中にも、観光地にも、絵画作品にも窓はある。

でも、じっと見ていると、ちょっとしたことに気が付いてくる。

窓をテーマにした散文集である。

 

■作品を読んで

読み終わって思ったことは、窓って一言でいえばすごく単純なものなのに、実は奥の深い世界が広がっていることです。

改めて考えると、確かに幅が広い。身近なところから、ずいぶん遠いところの窓まで。しかも実に様々。なんか面白い。

例えば、パリのノートル・ダム寺院の窓のこと。

というか、そもそも火事で一部焼失したようですが、著者の見た薔薇窓は燃えずに残っているそうです。よかった。

薔薇窓自体はかなり有名なものらしく、大概の観光客がさっと見て帰っているのを横目に、留学中で時間があったのかいろいろな時期に窓を見ていたようです。

うわー、それって贅沢な話だ。京都の学生が金がないからデートに寺に行きますって言ってるのと似とる…。

この窓を見て、光を取り込むという役割だけでなく、窓がフィルターのように外からの光をうまく抑えながら聖堂内部に光を入れている。

窓がフィルターかあ。ノートルダム寺院には行ったことがないですが、寺院内部はおそらく暗いはずで、窓や入口で採光を行っているはず。

その窓がうまくフィルターの役割を果たし、必要な光をうまく取り入れているとしたら、すごく機能的な窓ですわ。

まあ、この窓がひょっとしたらなくなっているかもしれないから文章として残っているなんてありがたや、と本気で思っていたので。

まさか窓が焼失を免れていたとは。実際のものが見れて楽しみですが、再建したら窓の役割が変わっている気がします。たぶん。

 

安部公房が撮影した写真から、箱男を思い出し、窓につながっていく短編がある。観光地から小説へ。窓が登場する場面が多すぎることに驚く。

箱男にとっての窓は、天井から14センチ、下縁が28センチ、左右の幅42センチと、窓というよりもはや除き穴。

箱男にとっては、空を見るためでもなく、遠い山並みを見るためでもなく、足元を確認するためのもの。

窓の役割が多様性を帯びていることに驚きます。窓って日常の何の気ないものなのに。

そこから先は、窓についての話と同時に「箱男」のネタバレ感あるものになっています。なので、「箱男」の話をしなくてはならないので、割愛します。

さらには、毛細血管の「有窓性」という言葉から窓との関連性を見出します。どうやら血管の開閉に窓というシステムを使用しているそうです。

窓が生命の分野にもあるだなんて、ここまでくるともはや絶句。窓って本当にいろいろなところにある。

果ては、高層ビルの窓。著者曰く、窓とは思えないのはなんでだろうと思っていたようですが、原因が分かりました。数が多すぎることです。

窓の役割の1つとして、表情豊かな目と記していますが、言われてみれば高層ビルの窓は均一がとれていて、すごく違和感があり、落ち着かないような気分になります。

というか、これも窓。

窓、窓、窓。窓をめぐる話は、様々あるのです。

 

■最後に

窓をめぐる散文集です。この作品を読むと、窓って、一口に範囲が恐ろしく広いということに驚かされます。

新たな発見が詰まっている作品です。

 

-散文集, 文庫本,

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