こんばんわ、トーコです。
今日は、唯川恵の『バッグをザックに持ち替えて』です。
■あらすじ
ひょんなことがきっかけで山に登り始めた著者。
山との出会いから、登山について、田部井淳子をモデルにした小説を書くことになり、エベレストに登るまでを綴ったエッセイです。
■作品を読んで
この登山の話、正直に言って「どうせ本を書くために登山はじめて、案外はまっちゃう話でしょう」なんて思っていました。
が、意外や意外。著者の登山は結構ガチです。どうも旦那さんがかなりの登山のできる方のようで、エッセイの序盤で夫からリーダーに呼び名が変わります。
登山の最初は近所の浅間山。軽井沢に住んでいるそうですが、すでに1000mの高さにありますが、浅間山の標高は最大で2400m。
まあ、よくやってみるものですわ。すごい。登山って登り切った後の達成感はすごいですが、登山前の準備と登山後の筋肉痛が酷くてもう2度とするものか、とトーコは思ったものです。
ただ、やはり登山にもいい面と悪い面があることをきちんと示しています。例えばですが、悪い面でいえば危険と隣り合わせです。命にかかわる場合はたくさんあります。
登山自体は1人でも始めることができますが、ガイドやツアーによっては大丈夫かこれはと思うような代物もあるんだとか。
いい面でいえば、人とのつながりや達成感を味わえることと、山頂からの絶景は格別であること。これがあるから、登山を趣味にする人がたくさんいるのでしょうね。
なんというか、登山して、山頂で絶景を見て、無事に下山した後の1杯はさぞかし最高でしょうね。この1杯のために頑張るというのは、結構いろいろな趣味に共通するものなのでしょう。
エッセイの終盤で、今後小説家としてどうするかを考えたときにふと田部井淳子さんをモデルにしようとしたそうです。山に登っているからこそ、山のもつ魅力を伝えることができるのだと思うし、実在の人物を書いたことのない著者だからこそ選んだ人物なんだろうなと思いました。
どう田部井淳子さんを描いているのか、正直読んでみたくなりました。多分説得力があるでしょう。
また、作品を書くためにエベレストへ行くことを計画します。決めたら最後、当日までの準備は怠りません。が、見事に高山病にかかってしまい、目標のカラパタール(標高5500メートル)に登頂することは断念しました。
それでもメンバーの1人だけがカラパタールに登ることができたので、登山としては成功です。やっぱり、無事に帰ることができる方が最優先。命あっての登山です。
なんだか、登山ってすごいなあと思うのと同時に、やっぱり危険と隣り合わせでちゃんと装備や準備をきちんとしないとダメなんだなと思います。
こういうことを伝えてくれる登山小説ってなかなかないように思うので、個人的にはいい作品です。
■最後に
もし、これから登山を始める人がいればこの本はおススメです。登山とは何ぞやを学んだ方がいいと思います。
登山をモチーフにしたものはかなりきれいごとが多いですが、このエッセイはそんなことはありません。
山に登ることがよくわかります。