こんばんわ、トーコです。
今日は、戸部良一編集の「失敗の本質」です。
■あらすじ
本書は、第二次世界大戦前後にあった旧日本軍にとって重要な戦いから、敗因の原因追究と現代の組織論への教訓として分析された本です。
■作品を読んで
この作品はひょっとすると聞いたことがある方も多いかもしれません。
この本は研究書でありながら、多くの経済界人の愛読書として取り上げてもいます。
おそらく、結構な人数の人が座右の書、とか言って取り上げていますが、その価値はあります。
また、ネットで調べてみれば、何とこの本の解説書まで登場しているではありませんか。
すごい話やな…。とはいえ、大変申し訳ないですが、この本を読みぬけば要点はきちんと書かれています。
当然です。これはあくまで学術研究書なので。作者たちはれっきとした大学の教授です。
ただ、この本読むのが大変です。何回読むのをやめようかと思ったことでしょう。
事例として挙げられている戦争は、ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、ガダルカナル大戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦といったかなり代表的な戦いを取り上げています。
で、ネタバレ感はありますが、この戦いを通して言えることですが、懲りずに何回も本質的には同じ失敗をしてます。
学習しろよ、とぼやきたくなるレベルです。
正直に言いますと、4つ目のインパール作戦を読み始める段階で相当疲れました。何回読むのをやめてやろうかと。
ですが、戦争から70年以上経っても同じような失敗をしているのです。
それは私たちの日常に限らず、世の中全体でも、です。
ここでかなり残念なことを申しますと、作品の後半の分析の章にも書かれていますが、日本軍の持っていた組織的特質をある程度のところまで受け継いだのは、企業組織です。
なんでか。戦後、財閥解体で組織のトップ世代が追放され、そのはるか下の世代である若手層が抜擢されました。
この若手層=戦争の生き残り兵、つまり自由主義の経験に乏しく、軍隊の統制制しか知らない世代が経営を行っていました。
その結果、様々な労働者をまとめるため、いいように軍隊の規律を使いました。
会社での一致団結なんていい例です。ただ、時代にあっているかはまた別問題。
ただ、この戦いでの失敗談は今の日本で起こっている問題、日常の問題ともに生かせる部分があります。わんさかとあるので、以下に簡単にまとめます。
- 戦略目的が不明…信じられないかもしれませんが、こんな状態で戦ってます
- 情報共有がなってない、情報を正しく認識していない…戦わなくてもいい戦いがあります
- 臨機応変に対応できない
- リスク管理がなってない
お、おいおいと絶句したくなるくらい、現代の日本的組織論の問題と一致する。
ちなみにトーコ社の該当する問題は2~4ですかね。器用貧乏のコミュ障と自嘲してます。
根拠のない理論は、女性のヒステリー声と一緒です。戦略を持ったうえでちゃんと事を成し遂げましょうね。
何か物事を始めるとき、失敗したとき、その原因となる事象を冷静に分析し、起こりうる可能性に対する対策を講じないといけないのだなとつくづく思うのでした。
課題と対策はネタによって変わるのですからね。本書はそんな当たり前のように思うことを気が付かせてくれます。
■最後に
とても有名な本ですが、読んでみるとこの失敗は現代に生きる私たちも同じことをしているではないか、とツッコミたくなります。
今日にも通じる教訓がたくさん詰まっています。ただ、たどり着くまでがかなり険しいですが。
歴史は繰り返す。失敗も繰り返す。失敗したくなければ学び、生かせ、実行せい、ということでしょう。