こんにちは、トーコです。
今日は、池上彰と佐藤優の共著である、「希望の資本論」です。
■あらすじ
この本が出版された2015年当時、トマ・ピケティという人が「21世紀の資本」という本を出しました。そこに書かれていることは、現代の格差問題について統計を用いながら解説するものでした。
トマ・ピケティの「21世紀の資本」は、マルクスの「資本論」の理論を証明した本でもありました。
この本は再び脚光を浴びたマルクスの「資本論」について、著者の対談形式の解説となっています。
■作品を読んで
「資本論」はかつて「革命の書」ともてはやされ、社会主義や日本でいえば1960年代後半の学生運動に影響を与えたそうです。
かつては、アカデミックな世界でもマルクス経済学はもてはやされていましたが、今はそう多くはありません。
ソ連の崩壊後、社会主義は資本主義に敗北したと思われ、影を潜めていました。
そこからのトマ・ピケティの「21世紀の資本」の登場です。詳しい内容は省略しますが、トマ・ピケティはマルクスの「資本論」の理論を現代のデータをもとに証明しました。
ただし、トマ・ピケティ自身はマルクスの「資本論」を読んだことはなく、影響は全く受けていないそうです。
こっちの方が個人的にはびっくりですけどね。
この作品は、こんな時代に資本論を改めて読んでみることに対する意義を説くことを中心としています。
トーコが一番面白いなと思ったのは、資本論において労働者の賃金は、労働力の再生産の費用になり、現代の世の中は再生産費自体が下がっているのではないかということです。
賃金の中には労働力の再生産の費用という、仕事をする上で必要なスキルを学ぶための費用も含まれています。あと2つ賃金の機能が書かれていますが、それは確かめをお願いします。
再生産費が下がっているというのはどういうことか。食べるものも牛丼やファーストフードなど、服はユニクロ、GUなど、簡単に言うと生活をするうえでこれらを選択すれば安く生活できる世の中になりました。
安く生活できるというのはありがたいことです。でもそれでいいのでしょうか。
では、今自分の会社の業績がかなりいいですが、給料が全く上がりません。どんな答えが導けるでしょうか。
資本論的に考えれば、ユニクロや吉野家を選べば、極端ですが社会的な生活費を抑えることが可能になり、下手をすれば非正規労働者と同じでもいいんじゃんと思われて、給料を上げないのことも想定できます。
それって、とんでもない話ですけど。実際にはそんなことも起こりえるのです。おお怖。
他にも、ソ連のエリート養成学校ではきちんと資本主義を学ぶクラスがあり、きちんと資本主義を知る人材がいたから経済システムを切り替えることができたりと様々な話があります。
こんな時代だからこそ、マルクスの資本論を読んでみたくなります。ただ、マルクスの資本論って3巻あるんですよね…。
冬休みの読書におススメです。年越しで読んでみるか…。
■最後に
なかなかとっつきにくいですが、マルクスの資本論を学ぶのは決して無駄ではありません。
世の中を見るのにも、自分の周囲を見るためにも、必要なことです。
この本は読んでみようというきっかけをくれる本です。