こんばんは、トーコです。
今日は西加奈子の『窓の魚』です。
■あらすじ
4人の男女が温泉旅館で一晩ともに過ごす。
4人はそれぞれ人には言えない秘密を抱えている。
翌朝、旅館には一体の死体が発見される。
■作品を読んで
西さんってこういう文章を書くんだと思いました。
意外性があり、いい意味で期待を裏切られました。
この作品は4人それぞれの視点で温泉旅を描いています。
なんというか、4人それぞれ見ているものがあまりにも違いすぎる。多面的というのはこういうこと、ということを感じさせます。
4人が同じ場所に集まっていても、何か傍目からはわからないものを抱えている。
この作品を読むと、結局人はいつだって孤独な生き物なんだということを思い知らされます。
そして宿には死体が見つかります。個人的には、はかなさの象徴のようにも思います。
なぜ死体が出てくるのか。何とも唐突な感否めないですが。
4人がそれぞれ抱える闇をいつか克服する日は来るのかは分かりません。
いつかは交わりそうですけど。
■最後に
すごく謎の多い小説です。読者の想像を駆り立てます。
4人が混ざり合っていないが、巧みにこの先交わるんじゃないかと予感させる文章です。
なかなかないタイプの小説です。