こんにちは、トーコです。
■あらすじ
セシルは父と父の恋人のエルザとともに夏を南仏の別荘で過ごすことになります。
セシルはそこで大学生のシリルと付き合い始めます。
同じころ、そこに父の別のガールフレンドのアンヌがやってきます。
父とアンヌが再婚しようとしているのを知ったセシルはある行動に出ます。
■作品を読んで
初めて読んだときは高校生のことでした。
当時の感想は、セシルはなかなかに残酷だなと思ったことと、作品を覆う空気感は一体何だろうというものでした。
あとがきを読んで、この作品を覆う空気感は虚無感だということがやっとわかりました。
やっと説明ができる、とうれしくなったことと、答えが見つかった安堵感は大きかったです。
セシルが残酷だなと思ったのは、父とアンヌの再婚阻止のための行動です。
アンヌとの再婚の決定後に父は元の恋人のエルザとの逢瀬をします。
その場面をアンヌに見られたのです。もちろん父は策略に全く気が付いていません。
アンヌはその場面を見てひどく傷つき、パリへ向かいます。
アンヌはその途中交通事故を起こし帰らぬ人となります。
セシルと父は刹那的な生活を続けていました。それがアンヌの登場によって壊されることをセシルは何より恐れたんだと思います。
セシルは日本でいうところの高校生になる年齢です。何というか、この年の子どもたちって危ういのです。
だけど、残酷すぎる…。
■最後に
サガンが20歳くらいで書いた作品と言われていますが、文章が繊細で本当に完成度の高い作品です。
この作品はストーリー的にはなかなか共感を得にくいですが、忘れ去られてほしくない本です。
興味を持った方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。