ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

外国小説 小説 恋愛 文庫本 男と女

【不思議な本】27.『悲しみよこんにちは』著:フランソワーズ・サガン

投稿日:4月 22, 2017 更新日:

こんにちは、トーコです。

今日はフランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』です。

悲しみよ こんにちは (新潮文庫)

■あらすじ

セシルは父と父の恋人のエルザとともに夏を南仏の別荘で過ごすことになります。

セシルはそこで大学生のシリルと付き合い始めます。

同じころ、そこに父の別のガールフレンドのアンヌがやってきます。

父とアンヌが再婚しようとしているのを知ったセシルはある行動に出ます。


■作品を読んで

初めて読んだときは高校生のことでした。

当時の感想は、セシルはなかなかに残酷だなと思ったことと、作品を覆う空気感は一体何だろうというものでした。

あとがきを読んで、この作品を覆う空気感は虚無感だということがやっとわかりました。

やっと説明ができる、とうれしくなったことと、答えが見つかった安堵感は大きかったです。

セシルが残酷だなと思ったのは、父とアンヌの再婚阻止のための行動です。

アンヌとの再婚の決定後に父は元の恋人のエルザとの逢瀬をします。

その場面をアンヌに見られたのです。もちろん父は策略に全く気が付いていません。

アンヌはその場面を見てひどく傷つき、パリへ向かいます。

アンヌはその途中交通事故を起こし帰らぬ人となります。

セシルと父は刹那的な生活を続けていました。それがアンヌの登場によって壊されることをセシルは何より恐れたんだと思います。

セシルは日本でいうところの高校生になる年齢です。何というか、この年の子どもたちって危ういのです。

だけど、残酷すぎる…。

■最後に

サガンが20歳くらいで書いた作品と言われていますが、文章が繊細で本当に完成度の高い作品です。

この作品はストーリー的にはなかなか共感を得にくいですが、忘れ去られてほしくない本です。

興味を持った方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

 

-外国小説, 小説, 恋愛, 文庫本, , 男と女

執筆者:


comment

関連記事

【衝撃の出会い】165.『ロマンシエ』著:原田マハ

こんばんわ、トーコです。 今日は、原田マハの『ロマンシエ』です。 ロマンシエ (小学館文庫) ■あらすじ 遠明寺美智之輔(とおみょうじみちのすけ)の実家の父は政治家ですが、父親に反対されながらも美術大 …

【読書について】156.『本をどう読むか』著:岸見一郎

こんばんわ、トーコです。 今日は、岸見一郎の『本をどう読むか』です。 (166)本をどう読むか: 幸せになる読書術 (ポプラ新書)   ■あらすじ 著者は、「嫌われる勇気」でおなじみの方です …

【衝撃の物語】463.『汝、星のごとく』著:凪良ゆう

こんばんわ、トーコです。 今日は、凪良ゆうの『汝、星のごとく』です。   ■あらすじ 高校生の暁海と櫂は、家庭環境のせいで心に傷を負い、孤独に苛まれていました。そんな2人が惹かれあい、もがき …

【はかない物語】114.「マチネの終わりに」著:平野啓一郎

こんばんわ、トーコです。 今日は、平野啓一郎の「マチネの終わりに」です。 マチネの終わりに   ■あらすじ 天才ギタリストと誉れ高い蒔野聡史とジャーナリストの小峰洋子をめぐる物語。 出会った …

【希望の物語】420.『とわの庭』著:小川糸

こんばんわ、トーコです。 今日は、小川糸の『とわの庭』です。   ■あらすじ とわは目が見えず、母親を頼りに生きています。目は見えないけど、小鳥のさえずりや庭の花のにおいはわかります。 しか …