こんにちは、トーコです。
今日は、塩野七生の『すべての道はローマに通ず』です。
ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉 (新潮文庫)
ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉 (新潮文庫)
■あらすじ
古代ローマの歴史自体を取り上げている本は数多くありますが、忘れてはならないのが、帝国中に張り巡らされた道路網と上下水道といったインフラ整備です。
これほどまでの繁栄をし続けることができたのも、この類を見ないインフラ整備が挙げられます。
この作品はローマの歴史本体を扱うのではなく、ハードなインフラとソフトなインフラの大きく2つに分けて解説していきます。
■作品を読んで
ハードなインフラでは、街道、橋、使う人々、水道を、ソフトなインフラでは医療、教育について解説しています。
ハードなインフラ面で驚いたのは、基本的な仕組みについては今の世の中で使われている仕組みに違いがほとんどないからです。
ちなみに、この本はこれまでに2回読みましたが、この事実は何度読んでもア然とします。
また、敷設したインフラの維持メンテナンスの方法も古代ローマでは見事に確立しています。同時に維持メンテナンスに必要な財源と人材面での問題を見事に解決していました。
それはそれですごいです。現代日本で応用したら面白そうです。
トーコはこのような業界にいるものですから、結構参考になるものがあります。
インフラ老朽問題いい解決策はないかねー。ひょっとしたらこの本は何かヒントをくれるかもしれません。
古代ローマの人々にとって、これらのインフラは人間らしい生活を送るために必要なもので、それを国が負担するのは、税金をとっている以上は当然至極のこと、と考えていたに違いない、と著者は述べています。
現代の日本ではインフラを民間管理に移管しようとしていますが、きっとローマ人は「はあ?」という顔をするでしょうね。
街道網は帝国中に張り巡らされていました。後世の歴史家によると、ローマ街道を上回る速度で移動できる手段は鉄道の普及が進むまでと言わしめました。
ソフトなインフラの面ですが、意外ですが、教育も医療も「私」つまり民間に任せていました。ただし、医療は大病院は軍基地のみで首都ローマにはありませんでした。キリスト教の勝利以降は教育、医療ともに公営化していきますが。
それにしても、古代ローマ恐るべし。
■最後に
読めば読むほど、古代ローマ人の作ったインフラがかなり優れているもので、なかなか例を見ないものだということがわかります。
正直なことを言えば、実現しきれていない部分もありますし、今の世の中インフラの維持は課題が多いです。
そんな状況にもヒントがあるかもしれません。
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