こんばんわ、トーコです。
今日は村上春樹の『スプートニクの恋人』です。
■あらすじ
小学校の先生をしているぼくには、1人の大切な友人がいる。
すみれという作家を目指す女の子だ。ぼくは彼女に恋心に似たものを抱いている。
だが、すみれはこのときミュウという女性に恋に落ちてしまう。
それからすみれはミュウのもとで働き始め、ミュウとともに旅に出た先で忽然と姿を消す。
■作品を読んで
ぼくはすみれと出会ってからというもの、何人もの女性と交際していても、常にすみれのこと頭から離れていなかったようです。簡単に言えば、ぼくはすみれに出会ったときから恋に落ちてたのです。
ただ、すみれはぼくの気持ちを知らず、ひょんなことで出会ったミュウと話が合い、意気投合。その後、ミュウの会社の事務員として雇われます。
すみれはミュウに恋をしてしまいます。燃え上がるような激しい恋ですね、しかしまあ、大丈夫なのやら…。
ただ、そのたどり着く先にはひょっとすると身の危険があるかもしれないし、自分や周囲の人間を傷つけるかもしれない。でも流れに身を任せるしかない。
すみれはこのように確信していましたし、その通りになりました。本当に。
物語の終盤で、ミュウとすみれはギリシアに旅に出ます。
すみれはミュウにまつわる衝撃的な出来事を知り、忽然と姿を消します。
ミュウは捜索の協力人としてぼくを呼びます。ミュウはすみれからぼくの話をよく聞いていたため、ぼくを読んだそうです。
ぼくにとってすみれが消えたことよりも、ミュウにまつわる出来事を書いた文章を読んだときにはじめてすみれがいなくなったことを思い知ります。
すみれの知った事実は、すみれ自身の身を焼き尽くす結果となりました。傷ついたというよりも焼き尽くした恋でした。
ぼくはふと思うのです。どうして人は孤独にならなければならないのだろう。すみれの場合は、事実を受け入れるためのような気がしてならないです。
文章にして形にした後、何も持たずに忽然と姿を消しました。神隠しみたいに。それだけ受け入れるのが大変な状況だったのでしょう。
半年以上が経ってからすみれからいつも通りの方法で連絡が来ます。やっとぼくとすみれが逢えるというところでこの物語は幕を閉じます。
タイトルにあるスプートニクはソ連のロケットの名前です。ロケットのごとく衝撃的に表れ、小惑星のごとく恋愛に身を捧げて燃えつくし、また復活する。しかも、超瞬間的に。
ああ、なるほどね。だから「スプートニク」の恋人なのね。それにしても、人間ってそんなものなのでしょうか。
■最後に
村上春樹の作品にしてはすごくラブストーリー要素の多い作品だと思います。村上作品初心者におススメです。挫折度はかなり低めです。
スピード感がすごいです。あっという間の恋がドーンと過ぎ去っていきます。
[…] 小説なら、83.『スプートニクの恋人』 、177.『海辺のカフカ』 。 […]