ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

小説 文庫本

【死者との旅】9. 『岸辺の旅』 著:湯本香樹実

投稿日:4月 4, 2017 更新日:

こんばんは、トーコです。

今日は湯本香樹実の『岸辺の旅』です。

岸辺の旅 (文春文庫)

 

■あらすじ

3年間失踪していた夫(優介)が帰ってきて、いなかった間どうしていたかを話して欲しいと言った。

妻(瑞希)はお互いにいなかった間は分からない。

いつの間にか失踪している間優介が過ごしていた場所へ旅に出た。

■作品を読んで

読み終わってすぐには感想がすぐに見つかりませんでした。

なんと表現すればいいのか収まりつくかわからなかったからです。

ただ、妻からすると死の世界が意外と近いのに、夫と過ごしていると夫は本当に生きているようにも思ってしまうのも事実。

一緒に語ったり、食べたり、寝たり。生身の人間として存在しているのですから。

やりきれないでしょうね。それでも、夫は本当に死んでいることを徐々に受け入れていく準備を進めます。物語の終盤で本当に夫と2度と会えなくなります。

この作品は結構重めなテーマを扱っていますが、死の世界がそこまで重くのしかかっているわけではないです。でも一定の重さはありますが。

死者の世界と生者の世界が交わって、行き来し、何かを共有する。

何か切ない。だけど旅を通して瑞希は気がつく。これ以上どこへも行けない未来があることを。

夫がいなくなるという事実を受け入れることで、2人の絆を再生することができ、これから先を生きることができるのです。

■最後に

死者と生者が近くにある作品はなかなかないです。

旅を通して、絆や想いの強さを思い知り、明日に向かえます。

読後は何かに圧倒されて言葉にすることができないほど、静かに心震える作品です。

 

-小説, 文庫本, ,

執筆者:


comment

関連記事

【生まれ変わる】465.『奔馬』著:三島由紀夫

こんばんわ、トーコです。 今日は、三島由紀夫の『奔馬』です。   ■あらすじ 38歳になった本多繫邦は、大阪の控訴院判事となっており、妻となる女性と結婚し、平穏に暮らしていた。 ある時、そん …

【生命の世界】278.『世界は分けてもわからない』著:福岡伸一

こんばんわ、トーコです。 今日は、福岡伸一の『世界は分けてもわからない』です。 世界は分けてもわからない (講談社現代新書)   ■あらすじ 最初にこの作品を読むと驚くでしょう。表紙を開くと …

【歌姫の幕引き】116.『流星ひとつ』著:沢木耕太郎

こんばんわ、トーコです。 今日は、沢木耕太郎の『流星ひとつ』です。 流星ひとつ (新潮文庫)   ■あらすじ この作品は、1978年に歌手をやめ、芸能界を引退することを決心した藤圭子に、作者 …

no image

【小説の書き方がわかる本】100.『砂上』著:桜木紫乃

こんばんわ、トーコです。 100冊までやってきました。まだまだ続きます。今後ともよろしくお願いいたします。 今日は、桜木紫乃の『砂上』です。 砂上   ■あらすじ 令央は作家を目指しているも …

【本に読まれて】354.『遠い朝の本たち』著:須賀敦子

こんばんわ、トーコです。 今日は、須賀敦子の『遠い朝の本たち』です。 遠い朝の本たち (ちくま文庫)   ■あらすじ 大人になる前に出会った様々な本。そこには、忘れられない日常と記憶とともに …