こんばんわ、トーコです。
■あらすじ
とある地方の高校には3年に1度サヨコを選ぶゲームのようなな伝統行事がありました。この年は「六番目のサヨコ」が現れる年。
この「サヨコ」ゲームと高校最後の年の出来事を雅子、由紀夫、秋、転校生の沙世子の4人の登場人物とともに描いています。
最近割と話題になっている恩田陸のデビュー作です。
■作品を読んで
すごくスリルある小説です。
サヨコ伝説、そもそも今年のサヨコは誰か、というか今年のサヨコは1人じゃないのか。
あとは主人公たちの学生生活や恋模様…。
初めて読んだ時が中学生くらいだったせいもあってか、すごく先が気になって読み始めると止まらなくなりました。
また、こうしてリアルタイムを抜けた今の年齢になっても、高校3年生で高校が進学校ということから、たまに受験の話が出てくるとすごくなつかしさがこみ上げてきます。
それにしても、すごく学生生活でしか味わえないし、学校だけではない気がするなと感じさせる描写が多々あります。
例えば、教室という机を並べた、特異で閉ざされた空間。
今会社に勤めているのでこの描写は今の状況にも当てはめることができます。
また、トーコ自身もこの机並べて、みんな堅苦しい恰好で、何とも言えない空気の漂う空間だなと思わず感じることがあります。
それは学生時代にも思いましたし、会社に勤める今でも思います。
こうして書くと、トーコはただの社会不適合者…。
あとは学校行事とかで放たれる、普段は団結とかへったくれもないのに、いざ行事となるとお祭り騒ぎとか妙な連帯感を伴うあの独特の空気感。
確かに学生時代、特に高校時代に結構体感したなあというのを思い出します。
あれは一体何というのでしょうかね。エネルギーが解き放たれているような感じ。
でも、今思えばもう2度と体験することのできないもので、振り返れば懐かしさがこみ上げられるものなんですよね。
トーコが初めて読んだときは中学生だったと思います。
そのためか、この本の中に出てくるような高校生の感じる心情を高校生のころに味わいながらも冷静に観察したり分析まがいのことをしていましたね。
いろいろと懐かしく感じる要素が多いです。だからノスタルジックな気分になるのでしょうね。
■最後に
文庫の後ろにある本の紹介文の中に、
「やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め…」
という文がありますが、青春時代というのは誰しも1度は訪れるものです。
過ぎ去った過去はこの水晶から思い出さないといけないのですが。
また、現在青春時代を送っている方にも感情を表す表現が見つかるかもしれません。
恩田陸さんは今話題となっていますが、この本もデビュー作らしいのですが、デビュー作と感じさせないくらいすごく完成度の高い本です。
美しい時代をもう1度見て感傷に浸るもよし、恩田陸さんをもっと知りたいときにもよしの作品です。
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