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【開国黎明記】102.『海の祭礼』著:吉村昭

投稿日:2月 22, 2018 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、吉村昭の『海の祭礼』です。

新装版 海の祭礼 (文春文庫)

 

■あらすじ

ペリーの来航前、日本に憧れたラナルド・マクドナルドはボートで利尻島に上陸した。

ラナルドはすぐに長崎に護送され、牢に収容された。

その時の監視員は通詞森山栄之助で、彼はラナルドから英語を教わる。

やがて、森山は開国を求める諸外国との交渉に関わっていく。

 

■作品を読んで

物語の最初で、利尻島の海で暮らすアイヌの人々の描写に結構ページを使っています。

正直これを読むと、一体このあらすじのような話につながるのか、イマイチ検討が及びません。

ですが、この描写でアイヌの人々の暮らしぶりがよくわかります。

この描写は本当にすごいです。

 

ペリー来航の5年前、ラナルドは未知の国日本に憧れて上陸しようと試みます。

しかし、例外に漏れず不法侵入罪で母国へ送り返すために、長崎へ送られます。

長崎に到着後、お寺の一角に幽閉されることになりました。

そこで出会ったのが、森山栄之助です。森山は長崎でオランダ通詞という役職についていました。通詞とは通訳のことです。

ラナルドと出会った当時は英語を話せる通詞は全くいなかった。その一方でアメリカ、イギリスからの異国船はやってきました。

森山は通常業務の合間にラナルドから英語を教わり、ラナルドは森山から日本語を教わりました。

ラナルドが帰国した後からは一旦幕末の幕府の様子が描かれます。

森山栄之助はどこへ行った?と言わんばかりの勢いで幕府の政局を描写しています。

物語は森山に戻ってきます。

森山はペリー来航の際には首席通詞として、開国交渉の最前線に立つことになりました。

相当の苦労があったと思います。幕府の中と交渉現場の温度差がすごいし、噛み合わないし。

苦労の末、条約を結びました。条約の中身は歴史の授業でもお馴染みです。

明治維新ののち、新政府に変わった後、森山は明治政府に仕官しなかったそうです。

ペリー来航から明治維新までの15年間、外交の最前線にいた森山にこれ以上の気力は残っていませんでした。

心身ともに気力を使い果たしたかのように森山は維新後すぐになくなったそうです。

 

■最後に

森山栄之助になかなかスポットライトが当たっていませんでしたが、彼も十分立派な幕末期の英雄の1人かもしれません。

彼がいなかったら条約の内容も多少変わっていたかもしれません。

森山栄之助は外交史上ではすごく大きな存在です。もう少し知られていてもいいのかなと思います。

 

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