こんばんわ、トーコです。
今日は、和田竜の「忍びの国」です。
■あらすじ
時は戦国時代。伊賀の国は忍びの術が使えるものが多く集まっていた。
そこで生きる無門は女房のお国に稼ぎのなさを嘆かれ、金目当てに同朋を殺してしまう。
それがやがて、伊賀を狙う織田信雄たちの仕掛ける合戦に発展する。
何年か前に映画にもなっています。
■作品を読んで
戦闘シーンはなかなかの迫力です。トーコはそんなにバトルシーンを読むのが少ないのですが、この作品は読みながらシーンがかなり浮かんできます。
伊賀の乱は無門が仕掛けたように書かれていますが、この本ではさりげなーく、文語体の歴史書からの引用がちりばめられています。
これのおかげで、作品の人物が本当に実存したり、史実があったりとすごく確証の持てるものになるのです。
それにしても、だましあいがすごいです。一体どこまでが想定の範囲内で範囲外なのか、全くわかりません。
あらすじで紹介した通り、無門が同朋を殺したことで、復讐のために隣国の織田家に行き、織田軍を呼び寄せるような記述があるくらいですから。
織田信長は息子の織田信雄に、「何があっても、伊賀の国は攻めるな」と言い聞かせていたそうです。もちろん、見事に破ってしまいますが。
相当恐れられた、忍びたちの恐ろしさはここにあるのでしょうね。
登場人物たちもかなり魅力的です。忍びの術に関しては右に出るものはいないと言われている無門も、女房のお国のことになると一変します。
惚れた女のことになるとムキになる、伊賀の男にしては変わっている無門。なんてったって小さな小競り合いなら日常茶飯事な伊賀の国ですから。
お国も戦いが起こったら一緒に逃げるも、伊賀の国が危ないことを聞いた後、無門に一言、「国を守る気はないのか、男だろ」的なセリフを言います。
お国はもともと武家の女なので、自然と出てくるのでしょう。それにしても、すごい芯の通った人だなと思いました。
最後は児玉清の解説です。この人はアタック25の司会者でもお馴染みのあの方です。
読書家だったそうですが、この解説文すごいです。何というか、この作品の良さと作者を全力で押してて、熱いです。この本ってそんなに素晴らしいのね、と再確認したくなりました。
この文章を書けるのがうらやましいのと同時に、もう児玉さんの解説がこれ以上生まれないのが残念でなりません。
■最後に
最初からなかなかドラマチックで、登場人物のキャラがなかなかに個性的です。
さらに解説まで熱いです。最後の最後まで楽しめる本です。