こんばんわ、トーコです。
今日は星野道夫の「魔法のことば」です。
■あらすじ
著者である星野道夫という人をご存知でしょうか。彼はクマに襲われるまでアラスカに住み、アラスカの自然を中心に写真を撮り続けていました。
この作品は著者の死後、著者が講演等で話した原稿をもとに構成されました。
■作品を読んで
1話ずつの読みきりです。
この作品は1回ごとの講演を収録していることから、著者の生い立ちやアラスカに行くきっかけ、印象深いエピソードなど1回ごとに「前に言ったぞ」ということが多々あります。
なので、1話ずつじっくり読んで、日を置きながら読むことをお勧めします。解説にもそう書かれています。
それにしても、前回も(120.「男も女もフェミニストでなきゃ」)も講演でしたが、こちらはインターネットがない時代の話。
著者がアラスカの情報を得るために本屋さんに行き、英語で書かれたアラスカの写真集を購入したり。
アラスカに実際に行くときも村の名前をエアメールに書いて忘れたころに返事が来たと、なかなか時代を感じます。
この方はすでに亡くなってしまったので、今の情報技術がわからないですが、それでもアラスカに行って実際に暮らして、写真を撮るでしょうね。そんな気がします。
どんなに手軽に情報が手に入る時代になっても、実際に生のものを見るというのは重要で大切なことだということを改めて再認識させられます。
行かなきゃわからないし、体感してみないとわからないことってたくさんある。体験することで自分のことにできる。
それにしても、著者は語り手としてもすごい人だなと思います。
自分の体験をベースにしていて、それを自分のことばで語っています。活字で追ってもアラスカの風景や情景が目に浮かびます。
この作品を読むと、人間と自然は結構切り離せない関係にあることがわかります。
自然が遠い存在ではないんです。しがない会社員でいると自然の存在がとても遠くてなかなか感じにくいですが、この本を読むと意識してしまいます。
作品の中に、秋になるとブルーベリーなどの木の実がなるので、スーパーには空瓶が売られ、人間はジャムを作って冬に備えます。
クマも同じで、木の実を一生懸命食べて冬に備えます。冗談で「クマに鉢合せしないように」ということを言うそうです。
なんだか、人間もクマも同じなんですね。
それにしても、この本を読むと四季の変化をもっと感じようという気になるのは、トーコだけでしょうか。
読後に、アラスカみたいな遠くの自然はなかなか感じることはできないけど、せめて少しでもいいから自然を感じたいと思えてきます。
■最後に
どんなに情報が簡単に手にはいる時代になっても、実際に体験するということの大切さを教えてくれます。
人間と自然が共存し、近くにいることを再認識させられます。
何か考えさせられます。