こんばんわ、トーコです。
今日は、小川仁志×萱野稔人の『闘うための哲学書』です。
■あらすじ
著者であるこの2人の哲学者による対談講座がもとになった本。
22冊の作品についてそれぞれの解釈を、時に熱く、時に激論を交わして読み進めていく本です。
■作品を読んで
たった2人で対話していても、ここまで解釈が異なってくるんだなとつくづく実感しました。
本からも2人が今けっこう熱くなって議論しているんだろうな、という熱量がすごく伝わってきます。
それにしてもここまで解釈が異なる原因の1つは、小川さんが理想主義者、萱野さんが現実主義者という対極の考え方をしているのも大きいのですが。
異なる立場でもお互いを尊重しあいながら議論をするという姿勢は私たちも見習うべきポイントです。
ハンナ・アーレントの「イェルサレムのアイヒマン」という作品を読んでいた時のことです。
アイヒマンは、ナチスドイツでユダヤ人を収容所に送る許可を出す責任者でした。
戦争のあと逮捕されて裁判にかけられたとき、アイヒマンは官吏とし業務をまっとうしただけだと答えました。
アイヒマンは絶対的な悪を持っておらず、陳腐な悪しかなかったとハンナ・アーレントは述べています。
平凡な人間が悪にかわることはだれにも起こることなんだというのを証明したのです。
でもその通りで、アイヒマンのように淡々と仕事をこなしているだけだけど、実は悪事に手を染めていたという場面がいくらでもあるような気がします。
下手すると、いつの間にか巻き込まれている可能性もあるわけですよね。
現代社会にはもう少し考えればこんなことにならなくて済むのに…という出来事が多々あるようにも思います。
大事なのは、考えて可能性を持つことなんだと主張します。考えなければタラレバもないのですから。
アイヒマンの場合は自分の行動をもっと深く考えれば、もっと違うものになっていたと思います。
アイヒマンの行っていた行為は、きっと良心はものすごく苦しくなるはずです。
そのことについて悩めばおそらく結果は異なるものになっていたことでしょう。
■最後に
他にもなるほどとかふむふむと思ってしまうような理論がたくさんあります。
哲学書を読む前にどんな理論があるのかを知るのにも一役買えそうです。
トーコもこの本の中に出てくる理論をもっと知りたいなと思いました。哲学ってけっこうおもしろいです。
意外と私たちの日常にすごく役に立つものもありますよ。