こんばんわ、トーコです。
今日は、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの『男も女もフェミニストでなきゃ』です。
■あらすじ
この本は、著者がTEDのプレゼンテーションで発言した内容を書籍化したものです。
とてもユーモアにあふれながらも、鋭く現代にもある男女の問題を取り上げています。
■作品を読んで
まず、この本を読んでみてください。薄くて文字が大きいので、あっという間に読み終えることでしょう。
前回トーコは119.「抱く女」著:桐野夏生 で男女に関してはどんなに技術が発達しても、認識がそもそも変わっていないので、1970年代と問題の本質は何一つ解決していないと思ったことを書きました。
けれども、それは日本に限った話ではないらしく、著者の故郷ナイジェリアでは日本より色濃く差別的な扱いや言動があるようです。
前回の本では男女の問題に関しては救いようのない気分になりましたが、チママンダさんの本を読んで何となくほっとしました。
こんな違和感を感じるのは私だけではない、みんな言わないだけで少しずつでもいいからそう感じているのではないかと。
そう考えると気が楽になるのです。共感できることでちょっとだけ救われるあの感じ。
それにしても、この語りは本当に面白いし、いかに私たちがジェンダーという問題に向き合ってこなかったかを思い知ります。
チママンダさんの故郷のナイジェリアはすごいなあ、と思います。
チママンダさんが働いたお金で駐車場を確保するボーイにチップを払っても、ボーイは「Thank you,sir!」と同伴していた男性に向かって言うというほどの状態。
なぜボーイは男性に向かって言ったかというと、チママンダさんが払ったお金は男性からもらったお金だとボーイが思い込んだから。
これは、すごい。ちなみにナイジェリアの首都ラゴスって2千万人ほどの大都市らしいです。
簡単に言うと東京よりも大都会。それでもなお残るこの扱いの差。
でも日本だって同じでしょう。ここまでひどくはなくても。
チママンダさんが体験したエピソードをユーモアいっぱいに紹介してから、どんどん問題の本質を突いてきます。
プレゼンテーションの最後に彼女はこう訴えます。
文化や人びとが民族を作るわけではありません。人びとや民族が民族を作るのです。
…私たちは女性に十全な人間性を認めることを自文化としなければなりませんし、それは可能です。
これで、この本のタイトルの意味がやっと分かることでしょう。
文化を作るのに、男も女もくそもありません。なかなか乱暴な表現ですみませんが、そういうことです。
世界を変えるのも意識を変えるのも私たちです。私たちみんなで解決していかなければならない問題です。きちんと向き合いましょう。
たくさんの自分の体験をまじえながらも、きちんと「これから」を指し示しながらプレゼンテーションを終えます。
希望がありますし、なんというか、結構爽快です。
実際のプレゼンテーションを見ると、もっと爽快に感じます。
なんというか、このプレゼンテーションかなり素晴らしいです。スライドをほとんど使うことなく、聴衆に訴えてしまうのですから。
聴衆もきちんとユーモアに反応し、映像で見るとプレゼンテーションの場の臨場感もあり、様子が伝わってきます。
本を読んだ後でも、前でもいいので、とにかくせっかくなので、TEDのプレゼンテーションを見ることをおススメします。
■最後に
ジェンダーをめぐる問題は時代を経ても、世界中いたるところで解決していない問題の1つです。
この本を読めば、男も女も関係なくきちんと問題をとらえていかなければならないことだと思い知ります。
また、プレゼンテーションも併せて聞いてほしいです。ライブ感が味わえます。
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