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【環境について】374.『環境アセスメントとは何か』著:原科幸彦

投稿日:4月 17, 2022 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、原科幸彦の『環境アセスメントとは何か』です。

 

 

■あらすじ

突然ですが、環境アセスメントと言われて何と答えますか。よくわからないと思います。

法ができてから年月が経つも、環境アセスメントの対象範囲が狭く、なかなか根付いていません。

本書では、本質と現状の問題点を述べていきます。

 

■作品を読んで

前々回の372.『入門 公共政策学』と同様、トーコが今知りたいと思って手に取りましたシリーズの第2弾です。はい、どうでもいい文章ですね。

なので、そこで得たことをトーコなりにまとめていこうかと思います。それでは、スタート。

環境アセスメントとは、そもそも何でしょうかね。作品の中で、以下のように説明しています。

環境アセスメントは、人間行為が環境に及ぼす影響を予測し、それをできるだけ緩和するための社会的な手段である

あっさりとした説明ですが、なかなかかみ砕いていただかないと理解に苦しみます。

まず、人間行為とは何ぞや。代表的なもので、土地の改変や工作物の建築を伴う開発事業でしょうか。

これらの事業を行う前に、環境に与える影響を予測・評価し、環境保全策を考えます。これを行うのはあくまで事業主で、取組みを推進するための住民参加などを含めた社会的プロセスのことを言います。

しかし、実際は環境アセスメントの実施数はかなり少ないです。法整備の後は増えているのでしょうが。

この作品が出版されたのは2011年2月なのですが、「持続可能な発展」という観点からは必要なことのはずです。

認識があるのに、やりたがらないというのは不思議だと著者はぼやいておりますが。環境により配慮した経済活動が求められる時代になったのですからね。

上記のコメントは、2011年2月です。震災前の話です。2009年には「持続可能な発展」という言葉はあったので、SDGsで騒いでいるのを見て、トーコ的にはやっとか、と思ったのは記憶に新しいです。

出版されてから11年が経過しています。ちょっと読んでいて驚きました。つい3~5年前に出版されたのではと思ったので。

環境アセスメントの方法論は決して色褪せていないですが、その取り巻く状況があまり代わり映えがしていないという方に問題を感じてしまいます。

そんな問題は、一個人で解決できないので、ここではこれ以上触れないでおきます。

とはいえ、持続可能な発展のためには、環境と開発のバランスをどうとるかであり、環境制約については地域住民と専門家、それぞれの意見が必要になります。

第2章は、日本の環境アセスメントの歴史と現状を見ていきます。

そもそも、アセスメントの導入自体は割りと早い方でした。日本の導入は1972年で、アメリカでは1970年に国家環境政策法が発行されているので。

なぜ早々と導入されたかと言えば、①公害問題への対処、②公害問題に対する住民運動、③公害訴訟の判決の中で企業の責任が問われたこと、④アメリカで国家環境政策法が導入されたこと、が挙げられています。

しかし、実際の環境影響評価法(アセス法)が制定されたのは1997年で、2010年にアセス法の改正案が提出されています。

その間四半世紀経っています。それは産業界や他の省庁などの反対及び同意が得られない等、提出するたびに幾度となく成立しなかった歴史でもあります。

アセス法の成立で、法的規制力ができたことはとても大きいです。四半世紀経ってやっと国際基準のものができたのですから。

なお、法の成立の前に一部の地方自治体で条例化されていますが、アセスメントの方法は法と一緒です。

環境アセスメントの対象事業は、高速道路、一般国道、河川、鉄道、飛行場、発電所、土地区画整理事業などで、一定面積を超えると対象です。

確か、区画整理事業はアセス法は75ha以上は当てはまるようですが、埼玉県の条例は50ha 以上が対象です。このように、県の条例の方と基準値が変わってくるので、要注意です。

第3章、第4章で環境アセスメントの本質とあるべき仕組みを見ていきます。

環境アセスメントは環境配慮のための手段ですが、あくまでも事業者の自主的な判断を支援するものでもあります。

しかし、法で規定された最低限のコミュニケーションしかとらないことが多いので、今後はより積極的なコミュニケーションをとることが求められます。

例として挙げていた愛知万博の会場は、かなり早い段階から説明会や意見交換会が行われていたので、その次の段階では事業者の予想よりもスムーズに行うことができたようです。

また、情報公開も求められます。そもそも事業の情報が公開されていないことには、何が何だかわかりませんからね。

第5章は戦略的アセスメントのことになります。結構玄人向けに近づいているので、ここでは割愛させていただきます。

第6章はアセスメントが変える社会です。

環境アセスメントがもたらす効果としては、

  1. 地域の環境情報が蓄積される
  2. アセスメント技術の発展が望める
  3. アセスメント産業という環境産業の発展が見込める
  4. 環境教育、環境学習等の社会的な影響がある

個人的には、3のアセスメント産業は面白いなと思います。環境を定量化するのは高度な専門知識がいるので、より中小企業に門戸が開かれればいいなと思います。

4はトーコの世代くらいは環境学習を結構やったので、平成生まれはたいてい聞いています。今はZ世代の時代なんて言ってますが、Z世代はまさに環境学習をきちんと受けているはずなので、環境に配慮しようとする行動をする人は多いのではないでしょうか。

この作品のあとがきで、東京に大地震が発生したらと思うと戦慄を覚える、と書いてありますが、出版してから1か月後に本当に大地震が起こります。

幸い都市の原型をとどめていますが、30キロ以上先まで住居が密集しているのが東京圏です。というか、鉄道近辺に住居が密集しすぎています。

環境アセスメントに限った話ではないですが、意思決定過程の透明性は政府のアカウンタビリティ(説明責任)を果たさなければならないのです。

さて、翻って現代はどうなっているのでしょうかね。10年前よりも??な状況が続いていますが…。

 

■最後に

とても理解しやすく平易な言葉で書かれているので、環境アセスメントについて理解が深めることができます。

知っていて損はない環境アセスメントについての話です。

 

-新書, , 環境, 社会

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