こんばんわ、トーコです。
今日は、穂村弘の『君がいない夜のごはん』です。
■あらすじ
食べものエッセイと言えばおいしいものが出てきて、よだれが垂れそう…、と思うことでしょう。
ところが、このエッセイ食べもののことなのに、のっけから「私は自分の鼻や舌に全く自身がないのだ」と始まります。
お腹の虫が鳴らない、なんか爆笑のエッセイです。
■作品を読んで
ある意味すごい作品です。
何がって、出てくる食べものがおいしそうと思う瞬間がないことです。
例えば、ミニあんぱん(6個入り)をもらい、御茶ノ水から西荻窪の間に5個食べてしまった話。ちなみに、御茶ノ水~西荻窪間は最短で22分、各駅停車で34分だそうです。
まあ、お腹がすいていたら成人男性なら食べそうですし、トーコも食べそう。
ただ、著者は「御茶ノ水~西荻窪間の車内でミニあんぱんを5個食べる成人男性がこの国に何人いるのだろう。」と言ってますが。結構真面目に。しかも、ワールドカップの日本代表候補とまで言います。
ぷっと吹き出してしまいます。笑うしかない。
それから、著者は襲い来る食欲の誘惑に負けそうになったら、自分のことを「ハングリーウルフ」と呼び、我に「ミニあんぱん」と戦う勇気を与えよ、と締めます。
笑うしかない、苦笑するしかない。なんでそうなる。これが著者流のダイエット法のようです。
ほぼ唯一といってもいいくらい、おいしそうなエッセイがこれ。(って、おいしいのか?)
ホテルの朝食を描いているのですが、お気持ち良くわかります。
自宅だとせわしないんですよね。完璧な朝食、まさにその通り。
どんなにテーブルをきれいに片づけても、日常のあれやこれやに追われて急き立てられる。
ホテルのあの非日常感がたまらないです。
ただ、違う意味で一緒のものがまさかの雀荘で食べる中華丼ってどーいうことだ。
ってツッコミたくなります。
それにしても、おいしそうな食べものの名前は出てくるのですが、いかんせんおいしいそうというより爆笑。
最後は電子レンジの話で締めます。「あたためスタート」で。そう来たか。
ただ、あとがきで著者もこう言ってます。
料理に関心のあるひとが読む雑誌に連載した(というか、今も継続中)ものだけど、そういう意味では全く参考になりません。
料理についての記事やレシピの間に挟まった、学校でいうと「休み時間」みたいな頁だから。
納得。そうとしか言えないエッセイたちですもの。
箸休めというか、料理初心者には意外と結構落ち着くかもしれないです。
■最後に
とにかく出てくる食べものがおいしそう、うまそう、というエッセイではありません。
ひたすら笑えます。食のエッセイのはずなのに。
カロリー、いつか君に会える日がくるのだろうか。大爆笑間違いなしです。
[…] まず、穂村弘のエッセイを。221.「君がいない夜のごはん」。なんというか、歌人というよりは面白いエッセイ書く人という認識です。 […]