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エッセイ ことば

【様々な言葉】293.『だいちょうことばめぐり』著:朝吹真理子

投稿日:4月 5, 2021 更新日:

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こんばんわ、トーコです。

今日は、朝吹真理子の『だいちょうことばめぐり』です。

だいちょうことばめぐり

 

■あらすじ

ふとした出来事や突如思い出される古い記憶。雑誌で連載されていたエッセイが単行本化されました。

流れるように美しい筆跡で綴られています。

 

■作品を読んで

まず、朝吹真理子さんの作品をすでに紹介しているので、よかったらどうぞ。228.「きことわ」

こちらの作品もなかなかに現世とうつつが見事に交錯し、見事に折り重なっています。読み終わりはすごくふわふわした気分になれる作品です。

さて、小説とは異なり、こちらはよりパーソナルなものになっています。なんというか、著者の人となりが分かります。

著者自身は、かなり有名な実業家、文学一家の出身の方だったはずです。大叔母の朝吹登水子はフランソワーズ・サガンの「悲しみよこんにちは」を訳した方で有名です。

ちなみにこれも紹介していますので、よかったらどうぞ。27.「悲しみよこんにちは」

タイトルにもなっている「だいちょう」とは、歌舞伎の脚本である台帳を指しているそうです。

余談ですが、辞書では脚本という意味と土地等の台帳が並記しています。だいちょうという言葉も、もとをたどると言葉にもこんなルーツがあるようです。

のっけから驚きます。なんと、著者は高校卒業のころから自分の意志で歌舞伎を見に行くようになったそうです。

何が楽しいのやらと思いながら読むと、役者や義太夫の声、下座音楽が鳴るのが好きでライブに行くようなノリで行ってたそう。

こんな人いるの…、と絶句。ちなみに、料金は幕見席という1番安い席で以前は800円。現在も人気のなさそうかつ人が来なさそうな時間の演目は800円で1番人気のもので1400円のようです。

どうもこう思いながら歌舞伎座に通っていたようです。

最初は人がなにを喋っているのかはほとんどききとれず、ただきいていた。耳がなれると、グルーヴがちょっと体になじんできて、少しずつ意味もいっしょにきこえるようになる。だんだん起きていることがわかるようになって、お芝居の内容も愉しくなってくる。

ほう…。なかなか20歳前の人の感想とは思えない話な気がしますが、現実なのでしょうね。読みながらビビりました。こんな人いるのかと。

なんか、英語の学習のごとく歌舞伎をみていたのでしょうね、この方。耳がなれるってある意味怖い。

結構この人若干アンニュイな雰囲気を持ってそうな人だな、と写真を見る限り勝手にそう思っておりましたが、なんとなく当たってたようです。

しかも、歌舞伎座で読書していたっていうすごいエピソード付き。そんなことできるもんなんだ。

果たして歌舞伎座って読書に集中できる環境なのだろうか…。そこはイマイチ謎だが…。

著者は一時期祖父のペントハウスで暮らしていた時期があったようです。そこで過ごした幼き日の思い出を回想します。

とはいえ、著者にとっての小学校は絶望的に楽しくない場所だったようです。

トーコはそんな感想は公立の小学生だけが言うんだろうなあ、と思っていました。トーコは地方の公立小学校出身で公立の学校って親だっていろいろいれば子どもも色々いる。その点、私立の学校はそういうことないだろうな、と思っていました。

が、それはトーコの思い込みだったんだな、と思いました。おそらくこの人の通っていた学校ってかなりいいところだったはず。そんな場所に通っていても楽しくないと思うのだから、何とも言えないもんだな、と思うのです。

結局、その子の個性の問題なんだろうなと思いました。目的がなく子どもにお金をかけるのって正しくないですわ。

ペントハウス暮らしも結構大変だったようです。

ただでさえ祖父の影が残っている部屋で暮らすのは、本当の意味で自分の部屋にならないような感覚になります。そこに、部屋が暑すぎたり、寒すぎたりと温度調節機能がほぼなかったようです。

孫にも敬語ではなすおじいちゃんに向かって、今なら暑すぎだよ、と言いあいたいと最後に言います。

幼いころの祖父の姿が非常によそよそしく、なかなか距離を縮めることができなかったけど、今なら距離を縮めることができそう、と思ったエピソードでした。

大学で民俗学や江戸時代のことを学びたいと思った著者は、当時の人の感覚に近づくために薄いベージュ色のカーペットをはがし、畳に変えたそうです。ひゃー、そこまでするか…。

部屋を和室にし、布団を敷いて寝起きし、文机で本を読んでみたり…。そういえば、歌舞伎座に行くようになったのもこのころだったような気がする。

とにかく、生活を和式にするとジーンズでは痛くなり(日本の素材ではないのでそもそも向かない)、着物を着て生活することにたどり着いたそうです。

それも2年は続けたのだそうです。古語辞典等の教科書類が重くなければきっと腰が痛くなることはなかったでしょうね。意外と重いのですよ、教科書って。

なかなか突き抜けた人だなあ。勉学のためにそこまでするんだ…。なかなかいないですよ、そんな人。

このエッセイのなかにも、歌舞伎や和のものを引用したり、思い出したりしています。なので、「ことばめぐり」の要素もあります。

かと思えば、料理のよろこびを教えてくれたのは「きょうの料理」だったと、意外と読者とラップできそうなエピソードをちりばめていたり。

ちなみに、著者のお父さんも「きょうの料理」を見て料理に目覚めたのだとか。

料理をしなさそうな人に見えますが、料理をするんだなあ、思いました。って、だいぶ失礼なコメント…。

でも、お手伝いさんエピソードは驚きます。お手伝いさんを雇えるってすげえ。さすが朝吹家…。

エッセイというだけはあるのですが、かなり個人の家族構成がきれいにわかってきます。

この作品を読んで初めて知ったのですが、著者は結婚してるようです。

出会った場所は、対談会。ゲストが現れず、急遽の相手が著者の夫となる人が務め、話の内容は結構どぎついものだったようです。

内容が出てこない…。少なくともロマンティック要素はゼロだったな。そうやって、人は結婚するんだなと思います。

 

■最後に

日常の出来事や思い出を流れるように、軽やかで静かに描いています。

時には国文学をうまく混ぜながら、時にはこんな一面もある人なんだと驚かされるエピソードとともに描いています。

個人的には、サマハン愛用者だったのもうれしかったです。

 

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