こんばんわ、トーコです。
今日は、田辺聖子の『おちくぼ姫』です。
■あらすじ
昔々、美しいお姫様が継母にいじめられて召使のようにこき使われていました。
お姫様の名前は「おちくほ姫」。部屋が落ちくぼんでいることから継母がそう名付けました。
そんなお姫様の侍女のあこぎが夫の帯刀(たちはき)に仕えているお姫様の話をします。
帯刀はお姫様の話を乳兄弟の右近の少将に話します。少将はお姫様に興味を持ち、お姫様のもとに行きました。
2人が初めて会うと、2人とも恋に落ちてしまいました。
さて、どうなることやら。
■作品を読んで
この作品は、当時の結婚の習慣などの時代背景がかなりわかりやすく書かれています。
また、現代語訳になっているのでかなりわかりやすく、語り口もすごく面白いです。
読み始めからかなり物語の世界に引き込まれます。
この作品の真の主人公は侍女あこぎとその夫の帯刀でしょうね。
平安時代の貴族の恋愛は周りのお付きの者の活躍が鍵を握るのです。
男から女へ今でいうラブレターを届けたり、取り次ぐのはまずお付きの者。とりわけあこぎの活躍は大きいです。
彼女はお姫様の乳姉妹でした。お姫様の母親が亡くなった後一緒に継母のいる今の住まいに移りました。
お姫様もたいそう美しい方でしたが、あこぎも美しい侍女でした。
それをみて継母はあこぎに三の君という異母姉妹の侍女に仕えるように命令しました。
それでも忠誠度は相変わらずお姫様の方が高く、お姫様のためなら何でも動く方です。
お姫様に恥をかかせぬよう、人目をかいくぐって道具を手に入れてお姫様と少将をもてなしたり等すごい働きぶりを見せます。
本気でお姫様の幸せを願う人です。真似できません。
お姫様は少将のおかげで逃げることができ、幸せに暮らしました。
しかも少将はどんどん出世していったそうです。
その一方で継母のいる中納言家は没落します。しかも少将によって継母への復讐を果たします。
お姫様よりも少将の方が継母に憎しみを持っていたんだと思います。
すごい気分爽快な場面です。
■最後に
古典といわれるとすごくとっつきにくいイメージがあると思いますが、すごくストーリーを聞くと本当にシンデレラのような話です。
田辺聖子版だとちょっと落窪物語と厳密には違う部分が多々あるそうです。
が、平安時代にこんな話があったと思うとすごく親しみが持てます。
「源氏物語」や「枕草子」だけが、平安時代の文学ではないですよ。
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