こんばんわ、トーコです。
今日は、江國香織の『旅ドロップ』です。
■あらすじ
この作品は、JR九州で連載されていたエッセイに、詩と1篇のエッセイを追加したものです。
著者が旅先で出会った人、食べもの、動物、場所。様々な出来事がまるで雨のように、雫のようにぎゅっと詰まっています。
■作品を読んで
この作品は、JR九州で発行されている機関誌に連載されていた作品で、1篇のエッセイはページ数で言うと約3枚程度と非常に読みやすい分量です。
なので、トーコは毎日1つか2つくらいにしてちまちま読んでおりました。
ちょっと脱線しますが、飛行機や新幹線の車内に置いてある機関誌は本当にレベルが高い。
毎回読むのがものすごく楽しみです。特に出張で新幹線をしゃーなく利用せざるを得ない時期がありましたが、JR東日本の機関誌を読むのがお金をかけない唯一の楽しみでした。
旅先の情報に、連載のエッセイ。JR東日本は沢木耕太郎さんです。
この方の作品もなかなか読み応えあります。これ読むの本当に楽しみでした。まだ連載してるよね…?。一体いつになったらまとめて本になるかしら。
さて戻りましょう。
この作品はどちらかといえばちまちま読んで味わった方がなおいい作品です。
1篇にぎゅっと詰まっているので、1篇読んだだけでもすごく充実感があります。
ずっと東京に住んでいるはずの著者が葛飾区の立石に出かけ、東京に住んでいるはずなのに不思議な気分にとらわれたり。通りかかるバスの色がいつもと違ったり。
ナッシュビルのアイスクリーム屋さんではたくさんのフレーバーがあり、どうすればいいのか分からなくなったり。
ロシアの紅茶がおいしくて、味が忘れられなくて紅茶と添えられていたウエハースを買い自宅で飲んだら旅の思い出が感じられなくなったり。
旅が好きなのに、帰ってくるのがこんなにもうれしいのはなんでだろう。そうか、居場所があるからか、と気が付いたり。
トーコも旅が好きなので、これわかる、うん、ということは多いです。
通りかかるバスの色が違うだけで確かに、ちょっと不安になります。
吉祥寺にこの前行ったとき今住んでいる街と同じバスだ、と思って安心しました。
どうやら吉祥寺のあたりも住んでいるところもバス会社が同じだったのでしょうね。結構距離は離れているけどなあ。
旅でおいしかったお茶やお菓子を買いますが、やっぱり雰囲気は完全に再現はできないものです。気候や空気感は日本じゃ出てこない。
旅って、行くだけでもたくさんのことを得てきますが、家が当たり前のようにあって、長期休暇後会社の机がきちんとあるのにほっとしていたり。
わかることがたくさんあるエッセイです。
■最後に
一つ一つのエッセイは短く、普段本を読まない方でも手に取りやすいです。
さらにいろいろなエピソードが詰まっているので、充足感があります。
共感できる話、面白い話、何か見つかるかもしれません。
[…] この短編集は、ずいぶん前に江國香織の「旅ドロップ」の中でも話しましたが、JR東日本の「トランヴェール」という雑誌での連載をまとめたものです。 […]
[…] 1.『金平糖の降るところ』、64.『なかなか暮れない夏の夕暮れ』、149.『神様のボート』、195.『旅ドロップ』、208.『彼女たちの場合は』、254.『去年の雪』 […]