ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

ことば 哲学 文庫本 日記

【抱腹絶倒本】88.『絶望名人カフカの人生論』編訳:頭木弘樹

投稿日:12月 18, 2017 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、頭木弘樹編訳の『絶望名人カフカの人生論』です。

絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫)

 

■あらすじ

カフカといえば、「変身」のほかかなり有名な作品を残し、多くの作家に多大な影響を与えました。

が、当のカフカといえば、日記やノート、メモ、手紙に残した言葉は自虐や愚痴に満ち溢れています。ネガティブのオンパレードです。

文豪の残したネガティブワードたちは、ネガティブを通り越して笑いに変わっていきます。

本当に不思議なくらいです。

 

■作品を読んで

冒頭からやられます。「はじめに」でこんな言葉が引用されています。

将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。

将来にむかってつまずくこと、これはできます。

いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。

へ、なんだそりゃ、って思うこと間違いなしです。

ほんと、いつ何時読んでも笑えます。正直なことを言えば、この引用を打っているときもくすくす笑っていました。

自分の悩みが結構な割合で吹き飛ぶこと、間違いなしです。

ちなみに、先ほどの引用文はラブレターに書かれていた言葉です。

え、それ書くの?とびっくりすることでしょう。

普通こんな男嫌だろう、と思ったら、なんとその人ちゃんとカフカと婚約します。

トーコがこれよりさらに爆笑したのは、その婚約者に渡した婚約者の父親あての手紙。

さっくりいうと、「ぼくは今の勤めで急速にダメになっていくでしょう」と書いたのです。

おーい、お父さんにそんなこと言うか、おい。

普通の親なら、そんなこという男と自分の娘を絶対結婚させませんぜ。

婚約者はお父さんにこの手紙を渡さなかったとか。当然ですけど。

それにしても、カフカの周りの人たちはよくこんなネガティブレターにメモをきちんと守ってくださいましたこと。

このカフカの手紙・書簡集というのは、実は現在日本語訳のものは絶版になっています。古書しかありません。

多分、日本語訳になっていてももっとわかりにくい文章だと思われるので、あってもとっつきにくいかもしれません。が、カフカの手紙たちは実に面白いので、あったら絶対いいなと思います。

こんなにカフカが絶望名人なんだということを教えてくださった訳者に感謝です。

 

■最後に

ネガティブもここまでくるともはや笑えてきます。

なんだかすごく安心するし、また頑張ろうと励まされるものがあります。

カフカの作品ももっと読んでみようかと思えてきます。

 

-ことば, 哲学, 文庫本, 日記,

執筆者:


  1. […] まずは、これまでに紹介した絶望シリーズです。88.『絶望名人カフカの人生論』 […]

  2. […] 88.『絶望名人カフカの人生論』著:頭木弘樹 194.『停電の夜に』著:ジュンパ・ラリヒ 216.『千年の祈り』著:イーユン・リー […]

comment

関連記事

【感動の話】327.『もどかしいほど静かなオルゴール店』著:瀧羽麻子

こんばんわ、トーコです。 今日は、瀧羽麻子の『もどかしいほど静かなオルゴール店』です。 もどかしいほど静かなオルゴール店   ■あらすじ ある南の島に、人の心の中に流れている音楽をもとにオル …

【憧れの街の日常】317.「対岸のヴェネツィア」著:内田洋子

こんばんわ、トーコです。 今日は、内田洋子の「対岸のヴェネツィア」です。 対岸のヴェネツィア (集英社文庫)   ■あらすじ 著者は、ひょんなことからミラノからヴェネツィアに移り住むことにな …

no image

【人の最期】474.『滅ぼす』著:ミシェル・ウェルベック

こんばんは、トーコです。  今日は、ミシェル・ウェルベックの『滅ぼす』です。 ■あらすじ 時は2027年。大統領選挙の動きが活発化している中、経済大臣ブリュノの秘書官ポールの私生活はいろいろとあわただ …

【だましだまされ】341.『カード師』著:中村文則

こんばんわ、トーコです。 今日は、中村文則の『カード師』です。 カード師   ■あらすじ 占いを信じ切れていない占い師の「僕」は、ある資産家の顧問占い師になることになる。その資産家は、自分を …

【美しき愛】464.『春の雪』著:三島由紀夫

こんばんわ、トーコです。 今日は、三島由紀夫の『春の雪』です。   ■あらすじ 侯爵家の松枝清顕は、幼なじみの伯爵家の綾倉聡子に恋していました。しかし、清顕の自尊心からついに結ばれることなく …