ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

外国小説 小説 恋愛 文庫本

【才能が疾走する物語】3 『真夏の航海』 著:トルーマン・カポーティ

投稿日:3月 30, 2017 更新日:

Pocket
[`evernote` not found]

こんばんは、トーコです。

今日は、トルーマン・カポーティの『真夏の航海』です。
真夏の航海 (講談社文庫) -
真夏の航海 (講談社文庫) –

 

■あらすじ

1940年代のニューヨークが舞台。上流階級のグレディが恋した男は、ブルックリンに住むクライド。

どういう意味かというと、身分の差がすごくありすぎるのです。

しかもグレディは少女でもなければ、大人でもない微妙な年頃ですが、親の決めた結婚をすることがほぼ決まっていました。はたして、どうなる。

 

■作品について

この本はカポーティが生きている間は出版されていません。

原稿自体は若かりし頃書かれたものだが、カポーティの中では失敗したと思ったのか、未発表になっていました。

なぜにひょっこりと、原稿が出てきたのか。

それは、この原稿を書いた当時住んでいたマンションの管理人に「この原稿などのゴミを捨てておいて」と頼んだところ、捨てるにはあまりにも惜しいので、管理人が保管していたそう。

なので日の目を見たのは、管理人の死後カポーティに関する資料がオークションにかけられてからのこと。

ゴミの山から宝物とはまさにこのこと。それにしても管理人さんいいもの拾ったね…。

それからカポーティの著作権を管理する文学基金が鑑定し、真筆と証明してから出版したそうです。

カポーティ文学基金は迷ったそうです。なんせカポーティが自ら出さないと決めたものですから。

でも、小説自身に語らせようと決めたそうです。一体人々はどう思うのかを見た方がいいと思ったのでしょう。

作品を巡るゴシップはここまでにして、本編の話をしましょう。

2人は結婚するという決断をしてからさあ大変。いろいろな壁が立ちはだかります。

物語の冒頭は気怠さと甘さが流れていますが、ラストは何かに取り憑かれた疾走感と、「えっえ、は‥はい‥」という衝撃を残して終わります。

なんというか、グレディの年代の頃の特有の危うさと眩しさがあります。でもそれだけじゃない何かもあります。

そして40年代のニューヨークがすっと浮かび上がってくるこの描写力の凄さ。家庭環境の違う2人だけあって、見事な対比が出ています。

2人は一体どうなるのやらとはらはらしながら、ラストは本当に疾走感と衝撃で終わります。

以後に139.「遠い声 遠い部屋」という本にも若干書いていますが、カポーティの出現は当時のアメリカ文学の世界を一気に変えてしまったという破壊力がありました。

この本は若き日のカポーティに眠っている才能の一端を見ることができる作品です。

 

■最後に

衝撃の疾走感で終わる、このラストのための作品なのではと思わせます。

ゴミに埋もれていたとはいえ、カポーティの才能が十二分に堪能できる作品です。

 

Pocket
[`evernote` not found]

-外国小説, 小説, 恋愛, 文庫本,

執筆者:


comment

関連記事

【青春の書】122.『青が散る』著:宮本輝

こんばんわ、トーコです。 今日は、宮本輝の「青が散る」です。 新装版 青が散る 上下巻 セット   ■あらすじ 燎平は紆余曲折を経て、新設大学の一期生として入学し、手続きのときに夏子と出会う …

【大切なこと】355.『いま君に伝えたいお金の話』著:村上世彰

こんばんわ、トーコです。 今日は、村上世彰の『いま君に伝えたいお金の話』です。     ■あらすじ 2022年度から、高校の家庭科の授業で金融教育が必須になります。それくらいお金の …

no image

【番外編】夏の文庫フェア in2021

こんばんわ、トーコです。 さて、なかなか本屋さんに行けないし、行きにくいしな状況ですが、今年もいつも通り夏の文庫フェアを行っています。 ちなみに夏フェアは、新潮文庫、角川文庫、集英社文庫が100冊選ん …

【子供部屋の番人】125.『プーとわたし』著:石井桃子

こんばんは、トーコです。 今日は、石井桃子の『プーとわたし』です。 プーと私 (河出文庫)   ■あらすじ 著者の石井桃子さんは、「クマのプーさん」や「ピーターラビット」シリーズなどを翻訳し …

no image

【懐かしい風景】86.『田園発港行き自転車』著:宮本輝

こんばんわ、トーコです。 今日は、宮本輝の『田園発港行き自転車』です。 田園発 港行き自転車 (上)(下)巻セット (集英社文庫)   ■あらすじ 会社員の川辺康平は、脇田千春の送別会を行っ …