ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

小説 恋愛 文庫本 男と女

【心新たまる本】78.『ここに地終わり海始まる』著:宮本輝

投稿日:9月 9, 2017 更新日:

Pocket
[`evernote` not found]

こんにちは、トーコです。

今日は宮本輝の『ここに地終わり海始まる』です。

 

■あらすじ

タイトルの「ここに地終わり海始まる」という詩はポルトガルのロカ岬にあるモニュメントに刻まれています。

梶井克也は、軽井沢の療養院にいる志穂子に絵葉書を送りました。

梶井はサモワールというグループで音楽活動をしていましたが、芸能界が嫌になり放浪の旅に出ていました。

志穂子は24歳になろうとしているが、6歳から18年間結核の療養のために軽井沢の療養院にいました。

やっと退院できる、そのきっかけを作ったのは梶井からの絵葉書でした。

しかし、なぜ梶井は志穂子に絵葉書を送ったのでしょう。

 

■作品を読んで

24歳にしてやっと社会に出る志穂子が梶井に会いに行くところから話は始まります。

そこで事務所の下の階の喫茶店でバイトするダテコに出会います。

ダテコは尾辻という男なら梶井の行方を知っていると教えてくれます。ちなみにダテコはのちに友達になります。

梶井は物語の序盤であの絵葉書は志穂子に送ったものではないと言ってしまいます。

 

しかしまあ、登場人物たちの事情がけっこうヘビーすぎる。

2人ともその年で人生に絶望めいたものを持っている。大丈夫か?と突っ込みたくなるのですが。

でもそこであきらめても、引いて逃げてもいけないんだと思います。事態は何も変わりはしないので。

物語の終盤になると志穂子と梶井に少しずつですが、変化が訪れます。

梶井はあの絵葉書は本当に志穂子に送ったものと確信し、志穂子に抱いている気持ちに気づきます。

志穂子は一方で尾辻に求婚されてしまいました。けど、結核の治ったばかりの体は子供を持てる状態ではないと医師に告げられます。

志穂子は結果的に梶井を選ぶことになるでしょう。なぜ「でしょう」という言葉を使っているのか、というと結論は1年間先送りになったからです。

なんというか、入院していたせいでいきなり社会に出たばかりで学業も修めていない、就職してもいない、ダテコが登場するまで友達がいなかったという24歳の女性にとっては、なかなかつらい状況です。一度に決めることは大変だと思います。

自分は子供の産めない体なのだ、結婚はできないとかたくなに思い込んでいますが、まずは自分の軌道に乗せよう、と志穂子は思ったのでしょう。

志穂子の幸福を願いつつ(著者いわく)物語は終えます。

 

■最後に

この物語は志穂子をはじめ何人かの人物の再生を描いた作品です。

いかんせん最後まで志穂子をきちんと描き切っていないのですが(著者いわく)。しかし、物語を読み進めていけば志穂子はきっとうまくいくと感じることができます。

ロカ岬に行ったことがあるのですが、ここに立つと何かがまた始められそうな気持ちになります。

まさにタイトルがそう語っています。だから志穂子は回復し、スタートに立ったのです。

 

Pocket
[`evernote` not found]

-小説, 恋愛, 文庫本, , , 男と女

執筆者:


  1. […] 23.「錦繡」、78.「ここに地終わり海始まる」、86.「田園発港行き自転車」 […]

  2. […] 23.錦繍、78.「ここに地終わり海始まる」、86.「田園発港行き自転車」、122.「青が散る」、211.「二十歳の火影」 […]

  3. […] 4位 78.『ここに地終わり海始まる』著:宮本輝 […]

comment

関連記事

【おいしい本】99.『食卓一期一会』著:長田弘

こんばんわ、トーコです。 今日は、長田弘の『食卓一期一会』です。 食卓一期一会 (ハルキ文庫)   ■あらすじ 詩人である長田弘の作品の中から、食べものの詩を集めている本。 すごくおいしそう …

【物語を作る】295.『物語の作り方』著:ガルシア・マルケス

こんばんわ、トーコです。 今日は、ガルシア・マルケスの『物語の作り方』です。 物語の作り方: ガルシア=マルケスのシナリオ教室   ■あらすじ 30分のドラマを作る場合、一体どんな風にして面 …

【危なっかしい年頃】85.『午後の曳航』著:三島由紀夫

こんにちは、トーコです。 今日は三島由紀夫の『午後の曳航』です。 午後の曳航 (新潮文庫)   ■あらすじ 14歳になろうとしている登は母と平穏に暮らしていたが、登はある日母と船乗りの竜二の …

【年を取ること】304.『私がオバさんになったよ』著:ジェーン・スー

こんばんわ、トーコです。 今日は、ジェーン・スーの『私がオバさんになったよ』です。 私がオバさんになったよ   ■あらすじ 著者が過去に対談した相手を中心にテーマを設けずに改めて対談していま …

【人生の一助】375.『賢者の視点』著:パウロ・コエーリョ

こんばんわ、トーコです。 今日は、パウロ・コエーリョの『賢者の視点』です。   ■あらすじ この作品は、2006年にイギリスで出版されたエッセイなどをまとめた本の日本語訳です。 個人としての …