こんにちは、トーコです。
今日は三島由紀夫の『午後の曳航』です。
■あらすじ
14歳になろうとしている登は母と平穏に暮らしていたが、登はある日母と船乗りの竜二の決定的なものを見て衝撃を受ける。
やがて竜二が登の母親と再婚し、竜二が徐々に陸の俗世の生活になじもうとする姿をみた登は、友達の首領(ドン)に相談し、もう一度輝かせる方法があると言ってある提案をする。
■作品を読んで
うん、この年の男の子っていったい何を考えているのかわかりません。
ラストはかなりぞっとします。父親になったばかりの男を永遠に眠らせようとするのですから。
14歳にならないって犯罪者として罰せられないんですよね。
これは作品が書かれた当時から全く変わっていない話。
14歳の少年少女って、かわいくて、聞き分けのいい顔をして、実は考えていることはえげつない。
だけど、すごく大人の世界の本質をついている。だけどよかったことは、こんな少年たちは現実に存在しないことだ。
それにしても、三島由紀夫は一体何を描きたかったんだろう。正直読んでいて謎が多いです。
世界は空っぽで、その空っぽの世界をの秩序を保つための見張り人で執行人でもある。
といったのはリーダー格の少年の首領(ドン)と呼ばれる少年で、また、彼は世界は単純な記号と決定でできている、とも言います。
最初はん…、となりましたが、冷静に考えるとそうなんだよね。
世界って私たちが思っている以上に単純なんでしょうね。
とはいえ、この言葉がすごく意味を持つのにけっこう重みがないのは、よくある小説の始まり方をしているからなのでしょう。
まあ、三島由紀夫が書きたかったことを考えるのはやめましょう。
それはそれでいいのでは。
■最後に
よくあるメロドラマで終わらせず、なかなかの伏線を用意してしまうのはさすがです。
かなり読みやすいです。意外にも思いますが、あっという間に読めてしまいます。
でもそれでいて様々な謎や?が多く残る、何とも言えない後味のある作品です。