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【働くということ】358.『最低で最高の本屋』著:松浦弥太郎

投稿日:3月 12, 2022 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、松浦弥太郎の『最低で最高の本屋』です。

 

■あらすじ

著者はあるとき『就職しないで生きるには』という本を手に取ります。点数を競い合い。

できないことに努力を強いられる状況が苦しかった著者にとっては、そんな生き方があるんだと目からうろこでした。

そんな生き方をしていくための心持や大切にしていることをまとめています。

 

■作品を読んで

まずは、これまでに紹介した松浦弥太郎作品を。

70.『場所はいつも旅先だった』238.『いつもの毎日。衣食住と仕事』345.『「自分らしさ」はいらない』

既に3冊紹介していています。おそらく『「自分らしさ」はいらない』という割と新しい作品と根底は変わらないのかもしれません。

とはいえ、著者の最初期の作品のせいか、個人的には若干尖っているなあ、と思う言い方も多々あるような気がします。

作品を開くとわかるのですが、著者の顔写真が若いです。今よりもきっと雰囲気が丸くなかったんだろうな、と。

執筆当時はおそらくCowBooksという本屋をやっているころだと思います。まだ「暮らしの手帖」の編集長になる前の話でしょうか。

まあ、印象論はいいとして、本題に入ります。

「あらすじ」でも説明したとおり、いい会社に入る=就職すること、という時代に高校を中退します。

それからいわゆるプータローになり、このままやりたいことが見つからない自分に嫌気がさして、アメリカに行きます。

最初はサンフランシスコに滞在し、虫歯がきつくて日本に戻ります。落ち着いたら次はニューヨークへ行きます。

本がもともと好きでニューヨークに行ったら本屋を回っていました。そうこうしているうちに写真に興味を持ち、ビジュアルブックをめぐるようになりました。

そこで、ビジュアルブックを道端で売るようになります。飽きた本を並べて、新しい本を買う軍資金にし、また並べます。

それを聞いた日本の友人が「こういう本を持ってきてくれれば全部買うよ」と言われ、驚きます。

それがM&Co通称エムカンのはじまりでした。

とはいえ、最初は実店舗を持たないで始まっています。インターネットがない時代にある意味すごいです。週3日原宿のキャットストリートで広げたり、個別で売っていたそうです。

それから赤坂に店を構えます。実店舗を構えるもそれまでのその頃の様子をこう回想しています。

仕事をしながら、常にそれぞれリンクすることを勉強していたあの時代は、本当に楽しかった。もっと勉強したくて、一日の時間が足りないと思っていたくらいです。忙しさで疲れたと思った記憶はありません。少し前までは、自分を誰かに認めてもらいたくて、外に向けて働きかけることを一生懸命やっていましたが、ちょっとその時点で自分の内側に興味が向いてきたという感じです。

この人にもこんな過去があったんだな、と思いました。なんか、結構スマートにやっていたのかと思いきや、そんなことはなかったんですね。

それにしても、この熱中の様子はある意味すごい。普通の人って、楽しいけど疲れる、のはずです。

ところがそれがないので、お客の好みに合った本を目利きするのと、実際に不特定多数の売っていたりすること、さらには営業のために写真家と話をしたり、という作業があっていたんだと思います。

そこにうまくハマったのがある意味うらやましいです。

なんというか、アメリカを旅してからエムカンを設立し、そうこうしているうちに文筆業の仕事が増えると同時に本屋の営業はこれでいいのかと迷ってきた過程も一緒に綴られています。

結局、本屋さんに関しては自分がやりたいのは何だろうというところから、移動本屋をやってみることにしましたが。CowBooks自体は現在も営業しています。

ここで、トーコが印象に残っている部分を。

辛いことやアクシデントが起きたときに、もし僕が逃げてしまったら、それを越えるまで同じような試練を投げ続けてくる。自分がちゃんと向き合って、乗り越えたら、神様はひとつくらい小さなご褒美をくれる。絶対に乗り越えられない壁はない。越えられるから新しい事件が起きる。それが一生続く。ただ自然に成長するってないんだと思います。

この後に、その流れを与えているのが神様なんだと思っているといいます。その通りだと思います。

コリントの信徒への手紙ではないですが、神様は越えられる試練しか与えない、に近い気がします。とはいえ、これも解釈が様々ですが。

やる気のない人の解釈はトーコが思っているのと真逆でちょっと笑いそうになりましたけど。

前に進みたいと思った時は絶対に逃げてはいけないのです。逃げても形を変えてまたやってきます。トーコはこの言葉に深く同意します。

このエッセイの最期にはこうまとめています。

たくさん受け入れれば受けられるほど、それだけしんどい部分もあると思います。得るものもあれば、リスクも当然ある。でもそのしんどい部分でさえ決して無駄ではない。どこかでプラスになると思います。結果として生み出されたものが偏っていてもいいと思いますが、生き方としては偏りたくない。やっぱりバランスが大切だと思うのです。

その通りです。というか、これを信じないと頑張れない…。

著者も紆余曲折を経て得たものがあると思います。

引用の前にですが、出会ったことは何でも受け入れて、自分でやってみたら新しいことが見つかるかもしれません。拒否したら何も出会えないかもしれません。

まずは合わせてみて、ダメなら違うところへ行く。結果的に自分を広げることになる。

うん、その通り過ぎてなんか納得。

 

■最後に

著者の割と若かりし頃に書いた作品です。なかなか今の著作にないとげがあるかもしれません。

でも、その根底にあるものは今の著作につながるものがたくさんあり、著者の芯はぶれていないんだな、と思わせます。

本屋をオープンし、執筆活動を始めたころの、仕事のエッセイです。

 

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