ある読書好きの女子が綴るブック記録

このサイトは年間100冊の本を読む本の虫の女子がこれから読書をしたい人向けに役に立つ情報を提供できればなと思い、発信しているブログです。

エッセイ 文庫本

【人間模様】214.『にんげんのおへそ』著:高峰秀子

投稿日:2月 1, 2020 更新日:

こんばんわ、トーコです。

今日は、高峰秀子の『にんげんのおへそ』です。

にんげんのおへそ (新潮文庫)

 

■あらすじ

女優をやっているとたくさんの人と出会います。有名人から無名の人まで。

そんな、彼らのまなざしを、人間模様を描くエッセイです。

 

■作品を読んで

話は脱線しますが、トーコの持っている文庫本とブログ記載の文庫カバーが違くてちょっとびっくり。

トーコの持っているものは、安野光雅が描いたピエロの表紙。

本人絶対いやだろうね。まさか今出版されているバージョン自分が表紙だなんて。

著者は安野画伯の表紙だ、わーいなんて書いていますからね。トーコの持っている文庫版。

 

さてのっけからすごいエッセイ。

夫のドッコイさん、いろんな意味ですごいです。

夫のドッコイさん曰く、旅と弁当はセットでかつ著者の弁当でないとダメらしい。

今どきそんなことをいう人はいないでしょう。駅にたくさん売ってるし、旅の前に弁当を作る気力を持ち合わせている人はもはや皆無でしょう。

さらに、彼は漬物がダメで、結婚する時にも「一生、タクワンだけはたべないでください」と頼み込むほどのレベル。

新婚さんだった著者は、「まあ、いいか」と思ったそうですが、以後何十年と漬物抜き弁当作りが始まったとか。

新婚に目がくらんで耐えることを選んでますが、結構すごい決断。

しかも、エッセイに書いてあったお品書きがまあ、すごい。きちんと自分で作っている。冷凍食品に頼っていません。

さらに、弁当を開けるタイミングは熱海の海を見ながらだとか。ということは、結構朝早くから仕込まないといけません。

すごい、としか言いようがありません。真似できません。

でも、このエッセイは弁当の話ではなく、ウェディングドレスの話です。

43年前の著者夫婦の結婚式に着たウェディングドレスを知りあいのお嬢さんの結婚式で着るので、その結婚式に参列するための旅らしいです。

話は色々な方向に飛びましたが、最後は自然な形で戻ってくる。

梅原画伯の遺言状を預かった話もすごいです。

たまたまいた3人に遺言状を渡し、死んだら新聞に公開してね、という内容。

3人とも困惑します。眠れないし、画伯よりも先に死ぬかもしれない、映画ロケで外国にいるかもしれないと様々な理由からです。

ちなみに、遺言状は新聞社内の秘密文書保管部に保管してもらい、画伯がなくなった時にきちんと新聞各紙で遺言状の中身が公表されたとさ。

そんなことって、あるんですな。

他にも、幸田文と会う話やお疲れパールの話、人生の店じまいについてなど本当はたくさんんいろんな話が詰まっています。

 

■最後に

高峰秀子のエッセイは鋭いし、大女優なのにすごく近い方に感じられます。

ドッコイさんの弁当の話はかなり強烈ですが。夫婦ってそんなんなんでしょうね。

いろいろな人間模様が見えてきます。

 

 

-エッセイ, 文庫本,

執筆者:


comment

関連記事

【青春の日】151.『放課後の音符(キイノート)』著:山田詠美

こんばんは、トーコです。 今日は、山田詠美の『放課後の音符(キイノート)』です。 放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)   ■あらすじ 高校生の頃、よく放課後で他愛のない話をしていた時期 …

【女の生き様】243.『寒椿』著:宮尾登美子

こんばんわ、トーコです。 今回は、宮尾登美子の『寒椿』です。 寒椿 (新潮文庫)   ■あらすじ 芸妓子方屋「松崎」で育った4人の少女、澄子、民江、貞子、妙子。 そして、「松崎」の娘悦子の5 …

【最後の1人】356.『黄色い雨』著:フリオ・リャマサーレス

こんばんわ、トーコです。 今日は、フリオ・リャマサーレスの『黄色い雨』です。     ■あらすじ 舞台はスペインの山奥の廃村。一人また一人と村を去っていくうちに、男は最後の1人の住民となる。 …

【驚きの歌集】298.『水中翼船炎上中』著:穂村弘

こんばんわ、トーコです。 今日は、穂村弘の『水中翼船炎上中』です。   水中翼船炎上中   ■あらすじ ゆるいエッセイや対談、評論等幅広く活躍している著者が出した歌集です。なんと、 …

【日本を伝える】439.『須賀敦子が選んだ日本の名作』編:須賀敦子

こんばんわ、トーコです。 今日は、須賀敦子編集の『須賀敦子が選んだ日本の名作』です。   ■あらすじ 1960年代のイタリアには、そこまで多くの日本文学の翻訳作品はありませんでした。しかも、 …