こんばんわ、トーコです。
今日は、高峰秀子の『にんげんのおへそ』です。
■あらすじ
女優をやっているとたくさんの人と出会います。有名人から無名の人まで。
そんな、彼らのまなざしを、人間模様を描くエッセイです。
■作品を読んで
話は脱線しますが、トーコの持っている文庫本とブログ記載の文庫カバーが違くてちょっとびっくり。
トーコの持っているものは、安野光雅が描いたピエロの表紙。
本人絶対いやだろうね。まさか今出版されているバージョン自分が表紙だなんて。
著者は安野画伯の表紙だ、わーいなんて書いていますからね。トーコの持っている文庫版。
さてのっけからすごいエッセイ。
夫のドッコイさん、いろんな意味ですごいです。
夫のドッコイさん曰く、旅と弁当はセットでかつ著者の弁当でないとダメらしい。
今どきそんなことをいう人はいないでしょう。駅にたくさん売ってるし、旅の前に弁当を作る気力を持ち合わせている人はもはや皆無でしょう。
さらに、彼は漬物がダメで、結婚する時にも「一生、タクワンだけはたべないでください」と頼み込むほどのレベル。
新婚さんだった著者は、「まあ、いいか」と思ったそうですが、以後何十年と漬物抜き弁当作りが始まったとか。
新婚に目がくらんで耐えることを選んでますが、結構すごい決断。
しかも、エッセイに書いてあったお品書きがまあ、すごい。きちんと自分で作っている。冷凍食品に頼っていません。
さらに、弁当を開けるタイミングは熱海の海を見ながらだとか。ということは、結構朝早くから仕込まないといけません。
すごい、としか言いようがありません。真似できません。
でも、このエッセイは弁当の話ではなく、ウェディングドレスの話です。
43年前の著者夫婦の結婚式に着たウェディングドレスを知りあいのお嬢さんの結婚式で着るので、その結婚式に参列するための旅らしいです。
話は色々な方向に飛びましたが、最後は自然な形で戻ってくる。
梅原画伯の遺言状を預かった話もすごいです。
たまたまいた3人に遺言状を渡し、死んだら新聞に公開してね、という内容。
3人とも困惑します。眠れないし、画伯よりも先に死ぬかもしれない、映画ロケで外国にいるかもしれないと様々な理由からです。
ちなみに、遺言状は新聞社内の秘密文書保管部に保管してもらい、画伯がなくなった時にきちんと新聞各紙で遺言状の中身が公表されたとさ。
そんなことって、あるんですな。
他にも、幸田文と会う話やお疲れパールの話、人生の店じまいについてなど本当はたくさんんいろんな話が詰まっています。
■最後に
高峰秀子のエッセイは鋭いし、大女優なのにすごく近い方に感じられます。
ドッコイさんの弁当の話はかなり強烈ですが。夫婦ってそんなんなんでしょうね。
いろいろな人間模様が見えてきます。
[…] 145.『わたしの渡世日記』、180.『巴里ひとりある記』、214.『にんげんのおへそ』 […]