こんばんわ、トーコです。
今日は平岩弓枝の『御宿かわせみ』です。
■あらすじ
八丁堀の同心の娘だったおるいは小さな宿屋「かわせみ」を開く。
宿の中で起こる様々な事件をおるいと恋人の東吾をはじめとする知り合いたちが協力し、解決していく人情物語です。
あとは、正式な夫婦でないおるいと東吾の恋模様も気になるところですが…。
■作品を読んで
平岩弓枝といえば、「かわせみ」シリーズ。
ちょっと調べてみたのですが、この「かわせみ」は何回かドラマや舞台化されているそうです。
ちなみに、シリーズ第1作である「御宿かわせみ」は1973年から連載が始まっているので、44年続いているスーパーご長寿シリーズもの。
うむ、すごい。
読んでいてすごく温かい話がある一方で、どうにもならない現実にブチ当たることもあります。時には事件の解決の仕方としてもかなり残酷な結末を迎える話もあります。
そしてすごく珍しいなと思ったのが、女であるるいが主人公なのです。女の目線から描く人情ものを初めて読みました。
お嬢さん気質のあるおるいが時に残酷で受け入れがたいものがあるのはすごく伝わります。
それでもトーコには不思議と温かくなりました。
おそらく、古くから仕えるお吉や嘉助、東吾の友人である畝源三郎といった人々の支えもあると思います。
ま、なんといっても恋人である東吾の存在は大きいです。2人はほとんど夫婦に近い関係ではありますが、身分の差や東吾の家での立場、るいの方が年上であることなど、正式な祝言を挙げるには少々問題を抱えています。
果たしてこの2人ちゃんと正式な夫婦になれるのか、気になるところです。
「かわせみ」で事件が何か起こると必ず駆けつけてくれる東吾の存在は、るいにとって心の支えとなり、大きいものです。
たとえ半月近く現れなくても。とはいえ、そんなに逢えないときのるいは人知れず心細いものですが。
2人で乗り越えていくたびに、なんだか愛や絆が深まっていきます。
物語の中で、「自分を運が悪いと思ってはおしまいだ、もっとひどいことになったかも知れないのに、ありがたい、よかったと感謝する気持ちがあれば、きっとやり直せる」というフレーズがありました。
そうだよな、と思わずうなずきたくなりました。
運が悪すぎるなあ、なんでこうなっちゃったの」と思いたくなることが何回もあります。そんなときに責めたとことで、何の解決はしないのです。
起こったことは仕方ない。それよりどう立ち向かうか、立て直すか。
もっとひどいことにブチ当たらなくてよかったという感謝の気持ちを持つのが、意外と新鮮に映りました。トーコの頭の中にそんな発想になかったです。
■最後に
おるいと東吾のこれからの関係と「かわせみ」で起こる事件と、
すごく続きが気になって、この人情ものの続きがすごく読みたくなります。
2人の未来はどうなるのか、どんな出来事を乗り越えていくのかすごーく気になる作品です。