こんばんは、トーコです。
今日は、ジャック・アタリの「海の歴史」です。
■あらすじ
海は私たちに様々なものをもたらしてきました。歴史、経済、軍事、政治などなど。
人間は海がなければ生きられないし、活動ができません。
海を制する者は世界を制するという状況の中で、未来でもきっと海を制すれば未来もある程度制します。
だからこそ、海の歴史を学ぶ意義があるのです。
■作品を読んで
著者のジャック・アタリとはそもそも何者でしょうか。
ジャック・アタリはフランスの学者で、フランスの知の巨人、別名トランプ大統領を予測した男。未来分析においてはかなりの有名人らしいです。
他にも著作がありますので、是非読んでみてください。
この本を読んで感心した点は、高校生だったトーコの素朴な疑問を解決しています。
海の歴史の起源は、地球に水が発生したことからに端を発し、最初の2章分は人類史から紐解きます。それから先は世界史的な視点で海の歴史を紐解きます。
海という固定のものの歴史に対して、生物の時間で学ぶ人類史と世界史が一緒になって論じられる。
人類史と世界史ってそもそも一緒ではなかろうか、と思っていたトーコにとってこの本は待ってました!とわくわくしながら読みました。
そして、著者がフランス人のせいでしょうか、フランスいじりがすごいです。
フランスは歴史的に見ても、7回ほど海を制することができた状況にありました。が、1回も制覇していません。なんという偶然の巡り合わせ。
訳文の口調が「あほかあんた」と突っ込みを入れたいんだろうなあとか、チャンスがたくさんあったのに、海を制しないとダメなのにねぇ、という著者からの小言が聞こえてきます。
大まかな構成は、人類史から見た海、世界史から見た海、今日の海、未来の海、海を守るための対策です。
海という切り口でこうしてみると、なかなか通史として壮大なものだなと思います。
なんというか、多岐にわたっている、というか渡りすぎ。そのため様々な角度から見る必要があると思うのと同時に、だからこそこの作品があるんだと思います。
海を知るのに本当に手っ取り早いです。380ページで収まるなんてある意味すごい。
しかも歴史だけでなく、これから先私たちが海を守るためにどうすればいいのかまで書いちゃっているのだから、驚き。
ここ最近プラスチックストロー廃止運動が高まっていますが、なぜ起こったのかという原因はやっぱり海への影響です。
プラスチックごみをどんなに細かく分解できても、魚は海に流出したプラスチックごみを食べてしまう可能性があります。その魚を私たち人間が食べるのです。海が汚染されていてはたまったものではありません。
ここまで来れば一連の食物連鎖が理解できてくることでしょう。
なぜ今プラスチックストローが廃止されることになったのかが、よくわかりました。
■最後に
海の歴史を学ぶことで、これから先海とどう付き合っていくか、海をどう守るかを考えるきっかけとなることでしょう。
厚さはそこそこありますが、海の歴史と現状、未来を書いているので、得られる知識量としては読んでいる厚さ以上になると思います。
ブルーの装丁がかなり印象的な本です。
[…] この著者の作品は以前にも紹介したことがあります。参考までに。135.「海の歴史」。読んで字のごとく海の歴史をつづった作品です。 […]