こんばんわ、トーコです。
今日は、田中靖浩の『会計の世界史』です。
会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語
■あらすじ
会計の歴史ってどれくらいあるのかご存知ですか?
今の形に近いところを歴史のスタート地点とすれば、中世のイタリアが起源ですので、だいたい500年です。
意外と奥の深い世界である会計史をより身近に感じさせる事例とともに解説しています。
■作品を読んで
この作品は学者が書いているのではなく、実務をする公認会計士が書いています。
そのせいなのかとは言い切りませんが、非常に硬すぎず、読みやすい語り口調で書かれています。
トーコもかつては会計学を学んでいました。
でもそこで勉強することといえば、損益計算書や貸借対照表の読み方や分析の仕方、原価計算についてなどの実務的なことばかりでした。
なので、意外と会計学がどこから始まってどれくらいの年月の学問かは誰も知る由もなかったです。
この本をトーコの学生時代に読んでいれば、きっと会計学がもっと面白いものに映ったと思います。きっともっと興味を持ったはずです。
歴史学が好きなトーコにとって、歴史学的に見ていれば、「そんな長い歴史があるんだ、ふーん。」なんて思ったかもしれません。
それに簿記の歴史で卒論を書いた身からすると、学生時代にここまで平易な言葉で通史を語る本がなかったので、理解の一助になったと思います。
さて戻りましょう。
この本1冊で会計史500年をたどることができます。
トーコとしては最初の2章分は卒論でまとめているのでそれとなく理解していますが、会計学が全く分からなくてもちょっとデフォルメしている書き方なので、理解しやすいです。
デフォルメというか、まあエンターテイメントっぽいというか。
同時に進行している歴史的な出来事に関連して説明しているので、余計にわかりやすくなっているのだと思います。
最初の2章分はイタリアの簿記史を主にまとめています。
それからはオランダ、イギリス、アメリカと舞台は移っていきます。
この舞台の変遷=当時経済繁栄を誇っていた国々です。
オランダでは会社組織が徐々に確立していきます。
イギリスで蒸気機関車が登場してから、財務会計と管理会計の仕組みの確立が求められるようになりました。
アメリカに舞台が移った後は財務会計と管理会計の更なる発展はもちろん、これらの指標をもとに未来を描いていけばいいのかについて述べています。
学問として当たり前に今は存在しているのですが、今の仕組みが時代の要請に応え続けた結果だったという事実に驚きます。
しかもそれが今でもきちんと機能していることにもびっくりです。
当たり前にもこんな理由があったりするのです。
■最後に
以上がなかなか知ることのない会計史の世界です。会計史500年の中には様々なものが詰まっています。
また、解説する語り口調も硬すぎることなく、わかりやすい事例と関連させて解説しているので、非常に頭に入りやすいです。
興味を持った方是非読んでみてください。